校長挨拶(定時制)

  グローバル化は我々の社会に多様性をもたらし、また、急速な情報化や技術革新は人間生活を質的にも変化させつつあり、社会的変化の影響が、身近な生活も含め社会のあらゆる領域に及んでいます。こうした予測できない未来に対応するためには、社会の変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、一人一人が自らの可能性を最大限に発揮し、よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していくことが重要です。
 工業とは、「人が人として幸せに生きていくために必要なものをつくること」であり、工業高校で学ぶ、知識や技術は、自分のためだけでなく、人のため、社会のため、世界や地球のために、役立たせるためのものであると考えています。専門的な知識や技術の先には、それを利用する「人」がいます。いかに高度な技術を駆使したものであっても、それを使う人への、思いやりや配慮、気遣いがなければ、決して受け入れられることはありません。相手の気持ちや、立場に立って考えること。行動すること。つくり上げること。その基本は「優しさ」です。
 そして、優しくあるためには、「心の強さ」が必要です。心が強くなければ、優しさは甘さや弱さになりかねません。心が強くなければ、人や社会を優しく包むことはできません。どのようなことがあっても挫けることのない強い心。たゆまぬ努力を重ね、前に進もうとする強い心。本当の優しさは強い心に宿ります。
 本校の原点である定時制は、校訓「至誠一貫」「質実剛健」のもと、心豊かな人間を育成し、生徒の夢を実現する学校づくりに取り組んでまいります。

 

令和2年4月1日
埼玉県立大宮工業高等学校長 清水雅己

 

 

 

 

 

 

 

 


令和3年度 入学式 式辞(要旨)

やわらかな、春の日差しの中、若い命が躍動する希望あふれる季節がめぐってまいりました。

ただ今、入学を許可いたしました 18名 の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
教職員、在校生を代表して、皆さんの入学を、心から歓迎いたします。

そして、今日まで様々な面で、御苦労を重ねて来られました、保護者の皆様に、お子様の御入学を、心からお祝い申し上げます。


さて、本校は、大正14年、大宮町立工業学校として、大宮の地への設置が認可され、この95年の間に、校訓である「至誠一貫」「質実剛健」のもと、生徒たちの力を引き出し、鍛え、常に日本の工業界をリードする人財を育ててまいりました。

新入生の皆さんには、本校で、確かな学力に加え、社会人としての豊かな教養、そして技術者としての、高い技術力を身につけてもらいたいと思います。

本校での学校生活は、皆さんの生涯の中でも、極めて大切な時間になるものと思います。
そこで、入学にあたり、心に留めておいていただきたい、三つのことをお話しいたします。


一つ目は、「夢を持て!」ということです。

その夢は、先の長い生涯をかけての夢でも、少し努力すれば手が届きそうな、目標でも構いません。

人は、常に夢や目標を持ち、それに向かって努力することで、一回りも、二回りも、成長することができます。
幸いにも、本校には、日本を代表するほどの充実した施設・設備があり、そして何よりも、素晴らしい指導者である先生方がいます。

毎日の授業はもちろん、いろいろな資格取得やコンテスト、そして、部活動など、他に類を見ないたくさんのチャンスがあります。
このチャンスに、自ら積極的に挑戦して、そして、夢を掴んでください。

すべては夢を持つことから始まります。
「夢を持て!」、そして、その夢や目標に向かって、たゆまぬ努力を重ねていってください。


2つ目は、「失敗を恐れるな!」ということです。

先ほども、申し上げましたとおり、本校には、他に類を見ないたくさんのチャンスがあります。
そのチャンスに対して、たくさん挑戦すれば、たくさん失敗するのは当たり前です。
大切なことは、その失敗をどう捉えるか、そして、失敗しないためにどうすべきか、ということです。

まず、失敗をどう捉えるか。

わたしは、今までに一度も失敗をしたことがない。電球が光らないという発見を、今まで、2万回したのだ

これは、あの偉大な発明家、トーマス・エジソンの言葉です。

エジソンは、上手くいかなかった結果を「失敗」ではなく、「これでは上手くいかないという発見」と捉え、その結果を分析し、さらに研究に邁進したのです。

また、

失敗とは単に、もう一度始められるチャンスのことだ。今度は、もっと賢く行うことができる。ただ1つ、本当の失敗とは、そこから何も学ばないことだ

これは、アメリカの自動車会社、フォードの創業者、ヘンリー・フォードの言葉です。
エジソンは、「失敗」を「これでは上手くいかないという発見」に、フォードは、「次はもっと賢く行えるチャンス」と捉えました。

このように、失敗は必ず何かを学ぶチャンスでもあります。

また、この学びは、挑戦しなければ絶対に得ることができない貴重な経験でもあります。
高校生だからこそ、失敗を恐れることなく、たくさん挑戦して、たくさん失敗してください。

そして、その失敗を、発見やチャンスなど、前向きに捉え、「挑戦と失敗」「トライアル & エラー」を繰り返して、その先にある「成功」にたどり着いてください。

そして、失敗しないためにどうすべきか。

たったひとりしかいない自分を、たった一度しかない人生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないじゃないか。

これは山本有三の「路傍の石」の中にある言葉です。あまりにも有名な言葉なので、知っている人も多いことでしょう。

そして、この「路傍の石」には、このような言葉も書かれています。

人間はな。 人生という砥石で、ごしごしこすられなくちゃ、光るようにはならないんだ。

この人生という砥石には、目の粗い砥石、細かい砥石、仕上げの砥石など様々なものがありますが、皆さんにとって、この高校生活における砥石とは、学校であり、先生であり、先輩であり、後輩であり、仲間であり、地域や社会の方々であり、そして、何よりも自分自身であると思います。

その砥石を大切にし、磨き磨かれ、自分自身を光り輝かせてください。

そして、墨彩画家の ひろはま かずとし さんが執筆した「生きつづけてこそ」の中に、

あなたが、あなた自身を信じなくては、輝けるわけがありませんよ

という言葉があります。自分自身を信じること、自信を持つということは、とても難しいことです。

しかし、自信がなければ、就職試験も大学受験も、心配であり、実力を発揮することはできません。ましてや、試合やコンテストなどで、優秀な成績を収めることはできません。


それでは、自信を持つためにはどうするか。
それは、準備をする以外に方法はありません。
そして、準備は自信につながるだけでなく、嘘をつかない自分を築き上げるためにも、最善の行いです。

その準備をするときは、いつか。
それは、今、この時、これから始まる、この高校生の時です。
「失敗を恐れるな!」、怠ることなく準備を進め、信じられる自分、光り輝く自分を築き上げてください。


3つ目は、「優しくあれ! 心強くあれ!」ということです。

私は、工業とは、ただ ものをつくる のではなく、「人が、人として、幸せに生きていくために必要なものをつくること」だと考えています。

皆さんが、本校で学ぶ知識や技術は、自分のためだけでなく、人のため、社会のため、世界や地球のために、役立たせるためのものです。

専門的な知識や技術の先には、それを利用する「人」がいます。いかに高度な技術を駆使したものであっても、それを使う人への、思いやりや配慮、気遣いがなければ、決して受け入れられることはありません。相手の気持ちや、立場に立って考えること。行動すること。つくり上げること。その基本は「優しさ」です。

クラスの友人、学科や部活動の先輩、先生方をはじめとする多くの人との触れ合いの中で、心を磨き、鍛え、人としての「優しさ」を身につけていってください。

そして、優しくあるためには、「心の強さ」が必要です。心が強くなければ、優しさは甘さや弱さになりかねません。心が強くなければ、人や社会を優しく包むことはできません。どのようなことがあっても挫けることのない強い精神(こころ)。たゆまぬ努力を重ね、前に進み、たどり着こうとする強い精神(こころ)。本当の優しさは強い精神(こころ)に宿ります。

この「優しくあれ!」は、真心をもって何事にも立ち向かうこと。誠意を貫き通すこと。という本校の校訓「至誠一貫」に通ずる言葉であり、
「心強くあれは!」は、中身が充実して飾り気がなく、心身ともに強くたくましいさま。という本校のもう一つの校訓「質実剛健」に通ずる言葉です。

皆さんには、本校の校訓「至誠一貫」「質実剛健」とともに、この「優しくあれ!心強くあれ!」という言葉を、心に深くとどめ、それぞれの夢や目標に向かって、挫けることなく、怠ることなく、邁進していってもらいたいと思います。


最後になりましたが、保護者の皆様に申し上げます。

本日より、本校を巣立つその日まで、大切なお子様を、責任を持ってお預かりいたします。
お子様一人一人が持つ、資質・能力・人間性を、限りなく伸ばせるよう、私たち教職員は、全力で努めてまいります。
そのため、時には、厳しく、教え、諭すこともあるでしょう。
保護者の皆様におかれましては、学校の方針を御理解いただき、御協力くださいますようお願い申し上げます。

また、お子様は、青年期の悩み多き年代にあります。
保護者の皆様と本校の教職員が互いに信頼し合い、情報交換を密に行い、手を携えながら、粘り強く、お子様の成長を支援できればと考えておりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます。


結びに、希望あふれる新入生の皆さんの前途を祝すとともに、本日、御多忙の中、御臨席賜りました保護者の皆様に、重ねて御礼申し上げ、式辞といたします。

 

令和3年4月8日

埼玉県立大宮工業高等学校長 清水雅己

 


令和3年度第1学期 始業式 式辞(要旨)

こんばんは。
いよいよ、今日から令和3年度が始まります。
今年度も、正々堂々、明るく元気に、そして、楽しく学校生活が送れるよう努力してもらいたいと思います。

2・3年次生は学校の中核となって活動する中堅の年次であり、学校の顔となるべき年次です。
4年次生は最高学年であるとともに、自らの進路実現を果たす極めて重要な年次です。
まずは、そのことをしっかり自覚するとともに、常に意識して生活してもらいたいと思います。
そして、先ほど入学した後輩に対して立派な先輩として、本校の良き伝統を伝え、さらに良い学校を築き上げていくための「良き手本」となるよう努めてもらいたいと思います。

さて、年度が改まっても、相変わらず新型コロナウイルス禍にあり、今年度も様々な対応が迫られるのではないかと思いますが、一方で国際競争の激化や人工知能、IoTなどの先端技術が目覚ましい勢いで発達し、社会状況が大きく変化しています。

そのような時代において対応していくために、令和3年度のはじめにあたり、1つだけ話したいと思います。

それは、「能ある鷹」についてです。

皆さんも聞いたことがあると思いますが、「能ある鷹は爪を隠す」という諺があります。
有能な鷹は獲物に気づかれないように、悟られないように、普段は爪を隠し、いざ獲物を捕らえる時だけ鋭い爪を出すことから、転じて、「才能や実力のある者は、軽々しくそれを見せつけるようなことはしない」という意味を持っています。
日本人の美意識からすると、自分の才能をひけらかすことは恥ずかしいこととされ、「能ある鷹は爪を隠す」は、美徳ともされている姿です。

確かに、慢心して得意がって見せつけたり、見せびらかしたり、自慢したりする姿は、卑しく見えたりもします。また、慢心は、人を不快にするばかりでなく、自分の成長も止めてしまうこともあります。

しかし、慢心からではなく、自分の知識や技術を磨き、鍛え、自分に力をつけるためには、日頃から爪を出すことはとても大切なことです。
能ある鷹も爪を出すことをしない日々が長くなれば、感覚が鈍り、いざという時にその爪を出すこと、実力を発揮することができなくなります。ましてや、能ある鷹にまでは至っていない修行中の鷹であればなおさらです。

そして、競争相手が多くなればなるほど、生き抜いていくことが難しくなり、獲物を捕ることができなくなります。言うまでもなく、ここで言う、能ある鷹とは、実社会の第一線で活躍している人のような能力のある人、力のある人のこと。修行中の鷹とは、皆さんのことです。

先ほども話したとおり、国際競争の激化や人工知能、IoTの目覚ましい発達などにより、社会状況が大きく変化するこれからの時代にあっては、「能ある鷹になるため爪を研げ!」「能ある鷹は爪を出せ!」という姿勢が大切になります。

自分の知識や技術を磨き、鍛え、自分に力をつけるためにも、失敗を恐れず、何事も成し遂げるまで諦めず、果敢にチャレンジする姿勢が大切になります。

とは言っても、皆さんの心の中には、仲間の前で真剣に、真面目に取り組んだりすることを恥ずかしい思ったり、失敗を恐れチャレンジすることに躊躇する心が潜んでいるかも知れません。

大宮工業高校は工業の専門高校です。専門分野のことを真剣に学び、日本を支えることができる力をつけることを目的とする学校です。
真剣に、真面目に取り組むことは当たり前の姿であること。逆に、それができないことは恥ずかしいことであり、哀れなことであるという意識を持ってください。

そして、失敗を恐れチャレンジすることに躊躇する心を追い払うために、いくつかの言葉を紹介します。

世の中に、失敗というものはない。
チャレンジしているうちは失敗はない、諦めた時が失敗だ。

有名な言葉なので知っている人も多いと思いますが、この言葉は、京セラや現在のauなどを立ち上げ、日本航空を再生したことで知られる 稲盛和夫さん の言葉です。

また、現在のパナソニックを一代で築き上げた 松下幸之助さん も、

失敗の多くは、成功するまでに諦めてしまうところに、原因があるように思われる。
最後の最後まで諦めてはいけないのである。
失敗すればやり直せばいい。
やり直してダメならもう一度工夫し、もう一度やり直せばいい。
失敗したとこでやめてしまうから失敗になる。
成功するところまで続ければ、それは成功になる。

と、稲森和夫さん と同様の言葉を残しています。

皆さんは、修行中の鷹です。高校生だからこそ、失敗を恐れることなく、何事も成し遂げるまで諦めず、果敢にチャレンジしてください。
それでは、令和3年度が、皆さんにとって充実した有意義な一年となることを祈念して、式辞といたします。

1年間どうぞよろしくお願いいたします。

 

令和3年4月8日

埼玉県立大宮工業高等学校長 清水雅己

 


令和2年度 第3学期終業式 式辞(要旨)

令和2年度も、今日で終わりとなります。
今年度は、緊急事態宣言の発令に伴う臨時休業から始まり、2度目の緊急事態宣言の解除に至るまで、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた、例年とは異なる様々な対応が迫られる辛く厳しい1年間となりました。
その意味でも、令和2年度の1年間、本当にお疲れ様でした。

新型コロナウイルスへの対応は、ワクチンの接種も始まり、暗く長かったトンネルの先に、ようやく一筋の光が見え始めたところですが、まだまだ世界中が混乱しており、経済や生活に大きな影響を与えています。

今後、このまま収束に向かうのか、第4波となってしまうのか、わかりませんが、予断の許さない日々が続くと思います。
皆さんには、引き続きマスクの着用や手指消毒をはじめ、感染拡大防止に努めてもらいたいと思います。


さて、今日は、「学ぶこと。考えること。」について話したいと思います。

3年前、皆さんが中学生の頃に放送されたテレビコマーシャルで、印象に残っているコマーシャルがあります。
そのコマーシャルは、皆さんも見たことがあると思いますが、au三太郎シリーズの中のコマーシャルの1つです。

菅田将暉さんが演じる鬼ちゃんが、鈴木福君が演じる長男の赤鬼に、「お前、将来どうするんだ?」と聞くと、赤鬼は、家族が多く家計を気にしてか、「お父さんの電気屋さん手伝うよ」と答えます。

すると、鬼ちゃんは、「生意気言うな!」と言った後、「学んだことは、誰にも奪われないから!」と優しく、学ぶ道に進むことを勧める場面がとても印象的でした。
感動の一言ですが、言い換えると、「学んだ知識や技術は自分のものになる。自分の力になる。」ということだと思います。

棍棒や刀をもって相手と戦う時代ではありませんが、変化の激しい時代だからこそ、自分の知識を高め、技術を磨き、自分をとことん鍛え、自分の力を高めていくこと。自分をレベルアップすることが大切だということを教えてくれていると思います。

自分を鍛え、得られた力や誇り、自信は、どんな時代にあっても、どんな苦境に立たされても、必ず自分を助けてくれます。

皆さんはこれから先、学校生活の中では考えられないほどの、比べものにならないほどの、嫌なことや辛いこと、理不尽なことに必ず直面します。
そのため、どんな壁にぶつかっても、逃げずに、諦めずに、乗り越え、走り続けられるよう、自分を鍛えていかなければなりません。

この「自分を鍛える」ということについては、アメリカの牧師・著作家の ジョン・トッドは、次のような言葉を残しています。

およそのものは権力で手に入れたり、お金で買えたりするが、知識だけは勉強して手に入れる以外に方法はない。

そして、「最も貴重な知識とは、自分の力で導きだしたものだ。」と言い、その上で、「知識を蓄えるだけでなく、考える力を鍛えなさい。」とも言っています。

すなわち、「自分を鍛える」とは、「考える力を鍛える」ことであるということです。

そして、この「考える力を鍛える」については、アメリカの詩人のエラ・ウィーラー・ウィルコックスが、「運命の風」という詩の中で次のような言葉を残しています。

同じ風を受けていながら、ある船は東に進み、またほかの船は西に進む。 行くべき道を決めるのは疾風ではなく帆のかけ方なのだ。 海の風は運命の風のよう。 生涯という海路を辿るとき、ゴールを決めるのは凪か嵐ではなく、それは魂の構えである。

ここで言う「風」とは、それぞれの人のおかれた環境や状況であり、順風もあれば、逆風もある。順調な時もあれば、逆境・苦境に立たされる時もあるということ。
「帆のかけ方」とは、テクニックとしてではなく、見方や考え方であり、一方向だけでなく、様々な角度から見たり考えたりすること。今、自分が持っている知識や技術を総動員して考えること。
そして、「魂の構え」とは、将来どんな事をしたいか、何を成し遂げたいかという夢や目標を定め、それに向かって努力する情熱や姿勢。何があっても、あきらめず辿り着こうとする強い心。志(こころざし)のこと。

この「魂の構え」「志」がなければ、辛いことや嫌なこと、理不尽なことがあると、人は逃げたり、あきらめたりします。あたかも被害者のように装ったり、人のせいにしたりします。噓をつきます。言い訳をします。
そのような人には決してならないでください。
逃げたり、あきらめたり、人のせいにしたり、噓をついたり、言い訳をしない人間になってください。至誠一貫・質実剛健であってください。

そのためにも、夢や目標、高い志を持ってください。
辿り着くまで諦めない強い心を培ってください。
様々な角度から見たり考えたりする力を養ってください。
自分を鍛えてください。
レベルアップしてください。
さらなる高みを目指し、何事にも好奇心・向上心を持って、自主的に、そして、主体的に取り組んでいってください。

皆さんは、学校で、毎日のように、誰にも奪われない力をいっぱい蓄える機会を与えられています。その機会を捨てないでください。無駄にしないでください。学びに真摯に向き合ってください。
新年度を迎えるにあたって、「魂の構え」「志」の源となる、夢や目標について考えください。
この大宮工業高校に学ぶ皆さんなら絶対にできるはずです。


最後に、お願いです。
いつも学期の終わりに言っていることですが、春休みを迎えるに当たり私の願いは一つ。
「死ぬな!ケガするな!悲しませるな!」ということです。


それでは、4月8日には、全員そろって、笑顔で会いましょう!
令和2年度の1年間、たいへんお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。

 

令和3年3月24日

埼玉県立大宮工業高等学校長 清水雅己


令和2年度卒業証書授与式式辞(要旨)

 

やわらかな、春の日差しの中、木々のつぼみも、日に日に膨らみ始め、春爛漫の日の近いことを思わせる季節になりました。

高等学校の全課程を修了し、ただいま、卒業証書を授与いたしました卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。

また、保護者の皆様には、お子様の高校卒業の晴れやかな姿をご覧になり、喜びも、ひとしおのことと、拝察(はいさつ)申し上げます。
高校時代は、心・技・体ともに、人生の中で最も成長する時期であると同時に、最も不安定な時期でもありました。
保護者の皆様の温かい愛情が実り、お子様は、ご覧のとおり、立派に成長され、本日ここに、卒業の日を迎えられました。改めて、心からお祝いを申し上げます。

本来であれば、この春のよき日に、多くの御来賓の皆様の御臨席を賜り、令和二年度卒業証書授与式を盛大に挙行するところでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、例年と異なる規模を縮小しての卒業証書授与式となってしまいましたこと、お詫び申し上げます。


さて、卒業生の皆さんは入学してから今日まで、本校の校訓「至誠一貫」「質実剛健」のもと、夢を持ち、失敗を恐れず、学校生活に一生懸命に取り組んできました。

本校での高校生活は、勉学はもちろんのこと、学校行事や部活動、資格取得など、さまざまな夢や目標に向かって挑戦してきました。

昼間は働き、夜に学ぶという生活では、体調管理にも、苦労したのではないでしょうか。

体育祭や宮工祭などの行事では、生徒会やクラス、あるいは学科で取り組み、人間性を豊かなものにしてきました。

様々な資格取得にも挑戦し、大きな成果をあげてきました。
部活動では、夜遅くまで、練習に励み、たくさんの汗を流しました。
このような日々を送る中では、さぞかし、辛いこともあったことと思います。

惜しくも敗れ、流した悔し涙、その辛さを乗り越え、目的を達成したときの歓び、その経験こそ、これからの人生の最高の宝物になるはずです。
その経験や思い出を、いつまでも大切に、胸に刻んでおいてください。

そして、いつも皆さんを見守り、励まし、支えてくださった、家族や、先生方、仲間がいたことを忘れないでいてください。

皆さんの高校生活の最後の1年間は、新型コロナウイルスとの闘いでした。
例年とは異なる様々な対応が迫られる辛く厳しい1年間であったと思います。
新型コロナウイルスへの対応は、ワクチンの接種も始まり暗く長かったトンネルの先に、ようやく一筋の光が見え始めたところですが、まだまだ世界中が混乱しており、経済や生活に大きな影響を与えています。
今後どのような状況になるか予断の許さないピンチの状態が続くと思いますが、このような大きな社会問題が起こったときには、必ず社会が大きく変わります。
そして、社会が大きく変わる時には、たくさんのチャンスが訪れます。まさに「ピンチはチャンス」です。
これから先も、このようなピンチは突如起こることでしょう。
そのピンチをチャンスとして捉えることができるかどうか、訪れているチャンスに気がつくかどうかは、皆さん次第です。
また、チャンスに気が付いても、自分自身に力がなければ、そのチャンスを逃してしまいます。
チャンスをものにするために必要なことは、備えること、力を蓄えることです。
高校を卒業したからといっても、皆さんはまだまだ未熟です。
これから先も、好奇心を持って様々なことを見つめ、学び続け、力を蓄えていってください。

皆さんが、溢れる希望を胸に抱(いだ)き、本日をもって、大宮工業高校から、新たなる社会へ、羽ばたいていくことに、大きな寂しさを禁じ得ません。
今ここに、万感の思いを込めて、そして、皆さんのこれからの長い人生における一つの人生訓として生かせるよう、皆さんへのはなむけの言葉を贈ります。

自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがいのないこの道。広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。
この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もあろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか。
あきらめろと言うのではない。いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、ともかくもこの道を休まず歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道ではないか。自分だけに与えられているかけがいのないこの道ではないか。
他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、道はすこしもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。
それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。

この言葉は、パナソニック株式会社の創業者、松下幸之助さんが残された「道(道をひらく)」という言葉ですが、まさに本校の校訓や校歌の意味そのものであると思います。
しかし、自分の定めた道を信念を持って歩んでいても、長い人生では、必ず良いときと悪いときがあります。

人は良いときは調子にのり、その幸運を自分の実力だと勘違いします。
そして、知らず知らずのうちに「高慢」になったりもします。
そのようなときは、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」のことわざにあるように、良いときほど人は謙虚に、そして、感謝の気持ちを忘れてはなりません。

逆に何をやってもうまくいかないときが必ずあります。
理不尽なことや想定外なことに必ず直面するときがあります。
そのような状況になったとき、人は挫けたり諦めたりします。
そのような状況のときには、見方や角度を変えて見てください。

アメリカの詩人、ウィルコックスの詩「運命の風」に、このような一節があります。

ある舟は東に進み、またほかの舟は同じ風で西に進む。
ゆくべき道を決めるのは疾風ではなく帆のかけ方である。
海の風は運命の風のよう。
生涯という海路を辿るときゴールを決めるのは凪か嵐ではなく魂の構えなのだ。

このように、順風ならばそれを追い風に、逆風ならば帆のかけ方を変え追い風にする。すなわち、逆風は現状を変える絶好のチャンス、大きな飛躍への契機にもなります。
まさに「ピンチはチャンス」なのです。
このことを含めて、皆さんには、自分の定めた道を信念を持って歩んでいってもらいたいと思います。

 いよいよ本日をもって皆さんは、大宮工業高校から新たなる社会に羽ばたいていきます。皆さんは、時流に乗る人、追いかける人ではなく、本校のDNAが宿る「新しい時代を創る人たち」です。社会の変化や技術の進歩をしっかり見つめ、新しい時代を切り拓く、健康で人間性豊かな社会人となることを心から期待しています。
素直に感じました。

 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、本校の教育活動につきまして、格別の御支援、御協力を賜り、誠にありがとうございました。

時には、至らぬことや、御心配をおかけしたこともあったかと存じますが、暖かく見守っていただいきましたことに、心から感謝を申し上げます。
そして、改めて、お子様の御卒業を心からお祝い申し上げます。

 結びに、本日ここに、ご卒業される卒業生の皆さんが、前途洋々たる人生を、正々堂々、そして楽しみながら歩んでいくことを心より祈念し、式辞といたします。


令和3年3月12日

埼玉県立大宮工業高等学校長 清水雅己


令和2年度 第3学期始業式 式辞(要旨)

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

新年早々ですが、大切なことなので式辞の前に、昨日、1都3県に発出された緊急事態宣言に伴う埼玉県及び学校の対応について話したいと思います。

まず、埼玉県の県立学校における学校運営の基本方針は、「感染防止対策を徹底しながら、教育活動を継続する」ということです。
これに基づき、学校における対応は大きく3点。

1点目は、「感染予防のさらなる徹底」です。

  • 登校前に必ず検温及び健康観察を行ってください。もし、風邪の症状があったり、体調がすぐれない場合には登校しないようにしてください。
  • 常にマスクを着用してください。
  • 3密を回避するよう行動してください。
  • こまめに手洗いや手指消毒をしてください。
  • 対面での食事はしないでください。また、食事中は会話をせず、会話は食事後にマスクをつけてからにしてください。食事をはじめマスクを外している時が感染リスクが極めて高くなりますので、感染しないためにも、させないためにも、必ず守ってください。

2点目は、「登下校時の3密の回避」です。

  • 公共交通機関の過密状態を避け登下校するよう工夫してください。
  • このため、登校時刻は平常通りとし、授業は40分の4時間短縮授業とします。

3点目は、「部活動の中止」です。

  • 部活動については、原則中止とします。
  • 対外運動競技等に出場する場合には、その2週間前から活動が認められていますので、顧問の先生の指示に従い活動してください。

以上3点です。詳細については、担任の先生や顧問の先生の指示に従ってください。

この他、土日など、学校が休みの日は、不要不急の外出を避け、ステイホームというせっかくのチャンスなので、自宅でしっかり勉強してください。

工業高校の生徒である皆さんには、こんな時だからこそ何が必要か、こんなものがあったらいいな! こんな仕組みがあったらいいな! など、ぜひ考えてみてください。そして、できれば絵にしてみてください。さらに、できればプロトタイプをつくってみてください。

頭の中のイメージを絵にしたり形にすることは、皆さんの成長にとって、とても大切なことです。ぜひチャレンジしてみてください。
加えて、学校だけでなく、自宅でも5Sを徹底してみてください。このピンチの時をチャンスに変え、自分自身を高められるよう努めてください。
まだしばらくは、多くの制約の中で生活することになります。窮屈かもしれませんが、気を緩めることなく生活してください。


それでは、式辞に戻ります。
冬休み中、事故等の報告は入っていませんので、皆さんは新型コロナウイルスの感染防止に努めながらも、きっと有意義な冬休みを過ごせたのだろうと思います。

まずは、「死ぬな! ケガするな! 悲しませるな!」を守り、元気に登校してくれたことに感謝します。ありがとうございます。

私自身は、比較的穏やかに年末年始を過ごすことができました。
特に元旦は、初詣を控え、ステイホームに徹していたため、時間に余裕があったので、新聞を何紙か購入して、新聞の読み比べと、新聞広告の読み比べをしていました。

2学期の終業式の式辞の中で、昨年の1月1日の そごう・西部 の広告の話をしましたが、毎年1月1日には、多くの企業が、新聞一面を使って、印象的なキャッチコピーと文章からなる広告を掲載しています。
今年も多くの企業が広告を掲載していましたので、まずは、その中から特に印象に残った8つのキャッチコピーを紹介したいと思います。

  • おもしろい未来は、自分たちで、つくろう。(講談社)
  • 今日から、進年。(集英社)
  • 想像力が明日をつくる(岩波書店)
  • 私たちは、動く。(日本自動車車体工業会)
  • つくるを、つくり変えろ。(大林組)
  • 変われ、変わり続けろ。未来が、そう言っている。(FUJITSU)
  • 新しい世の中は、あなたのアタマの中からひねりだせ。(社会情報大学院大学)
  • 世の中に「問題」があるときこそ、マーケティングとクリエイティブの出番です。(宣伝会議)

このように、今年は全体的に、「変革」「想像・創造」「実現」をテーマとしたものが多かったように思います。

この中から、特に勇気をもらったなと感じる2のキャッチコピーとその文章を紹介したいと思います。

1つ目は、「つくるを、つくり変えろ。」というキャッチコピーの文章です。

つくるを、つくり変えろ。

人類の歴史は、つくることの歴史だ。
制約、常識、願望。
人は、つくることによって、
さまざまなことを乗り越えてきた。
時代が大きく変わろうとしている今。
私たちは、つくること そのものを つくり変えてゆこうと思う。
形あるものだけが、ものづくりか。
人間のためのもの だけが、すべてか。
常に問いかけながら、可能性を拓き続けようと思う。
世界は不確かで、複雑さを増している。
でも、だからこそ。
これまで培ってきた力が、
まだ見たことのないものを 実現する原動力になるはずだ。
なぜならいつだって、つくることは、何かを超えることなのだから。

これは、俳優の佐藤健さんを起用した、建設大手、スーパーゼネコンの大林組の広告です。

時代の変化に対応し、自らが大きく変わろうとしている決意と、培ってきた力が原動力となるんだ という自信を感じさせる広告であると思うと同時に、力を高め、力を蓄えることの大切さを教えられたように思います。

 2つ目は、集英社の「今日から、進年。」というキャッチコピーです。
集英社は毎年1つのキャッチコピーで、新聞社毎に異なる主人公で、異なる文章の広告を掲載していますが、今年は、

  • 読売新聞 ONE PIECEのルフィーをはじめとする少年ジャンプの主人公たち
  • 産経新聞 SPY×FAMILYのアーニャ
  • 日本経済新聞 女優・ファッションモデルの新木優子さん
  • 朝日新聞 元SKE48の松井玲奈さん
  • 毎日新聞 走っている5人の子どもたち

を起用した広告が掲載されていました。

この中から、読売新聞に掲載された ONE PIECEのルフィーを起用した広告の文章と毎日新聞に掲載された 走っている5人の子どもたちを起用した広告の文章を紹介したいと思います。

ONE PIECEのルフィーを起用した広告の文章です。

今日から、進年。

何があっても止まらない。
どんな時でも進み続ける。
その強い意志こそが、いつだって世の中を動かしてきた。

それぞれの物語を通して、
ヒーローたちが教えてくれているのは、
いかなる困難も乗り越える
人間の無限の可能性。

さあ、新年だ。
心のページをめくって、
新しい白紙に
君の未来を書きこもう。
立ち止まらず、振り返らず、
次の時代に向かって、飛び出していけ。


 そして、走っている5人の子どもたちを起用した広告の文章は、

今日から、進年。

みらいへ進む君たちへ。

きっと忘れることはないだろう。
学校に突然行けなくなったあの日を。
友だちと会えず外に出られなかった、長い時間を。
当たり前は当たり前じゃなくなることがあると、
たぶん初めて知った一年を。

だけど、もう一つ忘れないでほしいことがある。
それは、「あの時は大変だったな」と
笑い話をしあう日も、いつか必ず来るということ。

世界は、みんなが望む
もっといい世界に、人の力で変えることができる。
その力を、僕らは想像力と呼んでいる。

今日から素敵な未来へ走り出そう。
僕たちみんなで一緒に。

 先ほども少し触れましたが、今の状況だからこそ、今年は、変革の時であることを告げ、その変革に対応する力や次代を思い描く「想像力」、創り上げていく力「創造力」や「構想力」、そして、必ず形にしようとする力「実現力」や「行動力」をテーマとしたものが多かったように思います。これらは、まさにこれからの時代を生きる皆さんに必要となる力だと思います。

令和3年1月。世界は新型コロナウイルス禍の中で、もがいていますが、一方で大きく変わり始めています。

2学期の終業式で話した通り、混乱期ではありますが、間違いなく黎明期でもあります。
このチャンスを逃さないためにも、次代を思い描き、創り上げていく力、必ず形にしようとする力、ゴールに辿り着こうとする力を培ってください。

そして、何事にも誠意と真心をもって取り組み、それを貫き通すことができる心身ともにたくましい生徒になってください。
努力してください。チャレンジしてください。あきらめないでください。自分の力を高めてください。力を蓄えてください。そして、信じられる自分になってください。

期待しています。
本年もどうぞよろしくお願いします。

令和3年1月8日
埼玉県立大宮工業高等学校長  清 水 雅 己


令和2年度第2学期終業式 式辞(要旨)

こんばんは
8月25日からスタートした、例年よりも少し長かった2学期も今日で終了します。
2学期を振り返ると、新型コロナウイルスの脅威にも屈せず、皆さんは協力して、体育祭や宮工祭などの大きな行事をはじめ、日頃の学びに真摯に取り組んでくれました。

そして、特に4年生は、人生の岐路に立ち、採用試験や入試に、悩みながらも、それぞれの進路実現を果たすために頑張ってくれました。
まだまだ、採用試験や入試は続いていますが、その真摯に取り組む姿勢に改めて敬意を表したいと思います。
しかし、進路が決まったことはゴールではなく、新たな生活へのスタートです。4月からの新たな生活が始まるまでの間に、さらに自分の力を高め、力を蓄え、十分な助走がつけられるよう努力してください。

毎年12月14日に、日本漢字能力検定協会が「今年の漢字」を発表していますが、今年の漢字は何であったか覚えていますか?
皆さんも予想していたのではないかと思いますが、今年の漢字は「密」でした。

これは、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、「密閉」「密集」「密接」を指す3つの密、「3密」が掲げられたことからも予想しやすかったのではないでしょうか。

皆さんは、この1年を漢字一文字で表すとすると、どんな漢字が思いつくでしょうか?

私が最初に思いついたのは、迷惑という字の「迷:まよう」と「惑:まどう」という漢字でしたが、その後、惑ったり、迷ったりしたことで、様々なことを様々な角度から常に考えていたことから、私にとっての今年の漢字は「考:かんがえる」としました。

たまには、このような観点で、1年を振り返るのもよいのではないかと思いますので、皆さんも、ぜひこの1年を振り返り、自分にとっての今年の漢字を考えるとともに、この1年でどのような成長があったかを自分なりに確認し、新年を迎えてもらいたいと思います。


さて、今日は2学期の終業式にあたり、1つの話と1つのお願いをさせていただきたいと思います。

もう1年前になりますが、今年の1月1日に発刊された新聞広告の文章を紹介します。

大逆転は、起こりうる。
わたしは、その言葉を信じない。
どうせ奇跡なんて起こらない。
それでも人々は無責任に言うだろう。
小さな者でも、大きな相手に立ち向かえ。
誰とも違う発想や、工夫を駆使して闘え。
今こそ自分を貫くときだ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
勝ち目のない勝負は、あきらめるのが賢明だ。
わたしはただ、なす術もなく、押し込まれる。
土俵際、もはや絶体絶命。

これは、幕内最小力士と言われている炎鵬(えんほう)関を起用した 株式会社そごう・西武 が、今年1月1日に発刊した朝刊の新聞広告の文章で、そのままではとても気が滅入る文章です。

しかし、この広告の下には、小さな文字で、「ここまで読んでくださったあなたへ。文章を下から上へ、一行ずつ読んでみてください。逆転劇が始まります。」と書かれていました。

土俵際、もはや絶体絶命。
わたしはただ、なす術もなく、押し込まれる。
勝ち目のない勝負は、あきらめるのが賢明だ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
今こそ自分を貫くときだ。
誰とも違う発想や、工夫を駆使して闘え。
小さな者でも、大きな相手に立ち向かえ。
それでも人々は無責任に言うだろう。
どうせ奇跡なんて起こらない。
わたしは、その言葉を信じない。
大逆転は、起こりうる。

このクリエイティブな広告は、絶体絶命のピンチの時に、そこで諦めるか、それをバネにして乗り越えようとするか、見方考え方ですべてが変わることや自分の力を信じる大切さを教えてくれています。
今思えば、これから起こる新型コロナウイルスの猛威を予感し、それに立ち向かう勇気を与えてくれている言葉であるかのようにも感じます。

本校の校歌の歌詞を覚えていますか?
本校の校歌は、難しい言葉がたくさん使われていますが、とても素晴らしい歌詞が綴られています。
校歌についてはいずれどこかで触れたいと思いますが、一番の校歌の冒頭に、「淳樸神を敬えば、黎明の幸渥からん(じゅんぼく かみをうやまえば、れいめいのさち あつからん)」とあります。

ここに書かれている「黎明」には、「あけがた。夜明け。」という意味があり、転じて、ある事柄が形になる前の始まりの時を意味しています。
今は、新型コロナウイルス禍にあり、世界が過去経験したことがないほどの混乱期であり、ピンチの日々が続いています。しかし、そのピンチの中で、様々なものが形づくられています。
まさに、新しい時代の夜明け、新しい時代の始まりに向けた黎明期であり、いたるところにチャンスがあり、「黎明の幸渥からん」の状況にあると思います。

このような時を、ただ混乱し、慌てふためいたり、諦めて何もしないで過ごすか、チャンスとして捉えることができるかどうか、訪れているチャンスに気がつくかどうかは、皆さん次第です。
また、チャンスとして捉えることができても、何の備えもなければ、自分の力を信じることはできません。ましてや先ほど紹介した広告のように大逆転を起こすことなど絶対にできません。
信じられる自分になるためにも、大逆転を起こすためにも、大切なことは、夢を持ち、それに向かって努力すること。自分の力を高めること。力を蓄えること。そして、様々な角度から考えること。たどり着くまで諦めず考え抜く強い精神(こころ)を培うことです。

今からでも遅くはありません。これからの新しい時代を切り拓き、創造していくという崇高な使命を持つ皆さんには、これからも本校の校訓「至誠一貫・質実剛健」のもと、夢を持ち、その夢を実現するために必要となる力を蓄え、そして、夢を実現するまで諦めない強い精神(こころ)を培っていってもらいたいと思います。


最後にお願いです。冬休みを迎えるにあたって、私からのお願いは1つ。1学期の終業式でもお願いしましたので覚えていてくれているのではないかと思いますが、

「死ぬな! ケガするな! 悲しませるな!」ということです。

必ずこれを守ってください。

それでは、年明け、冬休み明けの1月8日に、皆さんの元気な笑顔に会えることを楽しみにしています。
くれぐれも身体に気を付けて、有意義な冬休みを過ごしてください。

令和2年12月24日
埼玉県立大宮工業高等学校長  清 水 雅 己

 


令和2年度 第2学期始業式 式辞(要旨)

皆さんこんにちは。
夏休み中、事件・事故の報告は入っていませんので、新型コロナウイルスの感染防止対策をしっかり講じながらも、皆さん元気で楽しい夏休みを過ごしたのではないかと思います。

そして、1学期の終業式で、皆さんにお願いした「死ぬな! ケガするな! 悲しませるな!」を守り、みんな揃って、今日の始業式を迎えられたことに、まずもって感謝したいと思います。ありがとうございます。

今年の夏休みは、8月1日から昨日までの24日間という、例年の半分ちょっとの短い夏休みでした。
この間、連日の猛暑に加え、新型コロナウイルスの感染が広がっていましたので、気を抜けない夏休みであったと思います。

そのような中でも、昼間は仕事に励み、そして、夕方からは学校に登校し、熱心に部活動や補習に参加する何人もの生徒の姿がありました。

うわさには聞いていましたが、大宮工業高校の生徒の皆さんは、そのうわさの通り、本当に凄い生徒たちだな、そして、凄い学校だなと素直に思います。


さて、夏休み中も新型コロナウイルス感染拡大の勢いは衰えず、各都道府県の知事が不要不急の外出などについて自粛を求めていました。
皆さんもそれに従い、不要不急の外出を控えたのではないでしょうか。

そのような中で、8月1日、夏休みに入った初日のニュースがとても気になりました。
覚えている人も多いと思いますが、新型コロナウイルスに感染したため病院に入院していた40代の男性の行方が分からなくなったというニュースです。この男性は、感染者専用の病棟の鍵を壊して病院を抜け出し、自宅、職場を経て、県内の温泉施設に滞在、その後、警察に保護されたというものです。この行動により、この温泉施設は営業を止め、館内消毒したようですが、その後も、風評被害にもさらされたとのことです。

当事者の男性は、「長期の入院生活が耐えられなくなり早く退院したかった」「仕事をしないと業績悪化の恐れがあった」などと話しているようですが、本人の身勝手な行動により、多くの人が危険にさらされたり、不快な思いをしたり、大きな迷惑を被るなど、与えた影響はとても大きなものであったと思います。

また、東京都が発行している感染防止徹底宣言ステッカー、いわゆるレインボーマークですが、感染防止対策を講じていないにもかかわらず、ダウンロードして貼っているお店があるとの報道がありました。本来、安全・安心を知らしめるためのステッカーが、何の意味を持たないものになってしまいました。

残念ですが、このような倫理観が、かなり低いと言わざるを得ない、人やお店、企業があるのは事実です。

少し大きく捉えますが、倫理観とは、「しなければいけないことをしっかり行い、禁止されていることは絶対に行わない。しなければいけないと決められているわけではないが、行った方が良いと思われることは積極的に行い、禁止されているわけではないが、行わない方が良いと思われる行動は厳に慎む」ことです。

皆さんも耳にしたことがあるかもしれませんが、残念ながらこのような倫理観に欠ける行いは、個人に限らず、企業でも、これまで、たくさん報じられています。

例えば、指示された加工方法による加工を行わず、安全性が損なわれた製品を納品した結果、危うく大惨事になりかけたり、地盤が軟弱な土地に家を建てる際に、建物を支えることができる地盤や地層まで達する杭を打たずにマンションを建てた結果、マンションが大きく傾いてしまったり、鉄筋コンクリートの鉄筋の本数を減らしたり、生産地を偽って、本来使用すべき食材を使わなかったり、不正な会計処理行い虚偽の決算報告を行ったり、バレなければいいとか、見えない部分は手を抜いたり、誰かの利益を優先させたり、その結果、人の命にかかわるような事故が発生したり、大きな社会問題になった事例もあります。

このようなことは、今に始まったことではなく、私利私欲や自己保身、自己正当化、不要な忖度、プレッシャーなど、倫理観の欠如や人の心の弱さに所以しています。

「倫理観の低い企業は伸びない」「倫理観のない企業は潰れる」などと言われます。個人でも企業、組織、集団でも「倫理観」はとても大切なものです。特に工業高校で学ぶ皆さんだからこそ、ものづくりに関する知識や技術だけでなく、「倫理観」や「職業倫理」というものをしっかり身に付け、そして、高めていってもらいたいと思います。

第1学期の始業式と入学式に皆さんに伝えましたが、工業とは、ただ ものをつくる のではなく、「人が、人として、幸せに生きていくために必要なものをつくること」であり、皆さんが、本校で学ぶ知識や技術は、自分のためだけ

校長室より

至誠一貫

【校長室より】新型コロナウイルス禍にあっても

自転車競技部のインターハイ出場決定、来週末から始まる柔道部の関東大会をはじめ、新型コロナウイルス禍にあっても、全日制・定時制の生徒たちは、感染防止対策を十分に講じた上で、部活動の大会や学科関係のコンテストなどで活躍してくれています。

思い起こせば、昨年度の今頃は、全日制では、1クラス20人の分散登校がはじまり、定時制では、学年単位の分散登校が始まりました。

今年度は、「まん延防止等重点措置」が適用されているため、部活動等への制限はあるものの、平常授業が行われ、生徒たちが活躍する姿を観ることができていることに幸せを感じます。

生徒たちに行き渡るにはまだまだ時間がかかりそうですが、ワクチンの接種も始まり、長いトンネルの先に小さな光が見え始めています。我慢の連続でつらい毎日ですが、生徒たちには自律的な生活をしっかり送ってもらいたいと思います。保護者の皆様にかれましては、引き続き御支援・御協力をお願い申し上げます。

【校長室より】本校の歴史的資料を御提供いただきました

昭和30年3月に御卒業された先輩から、本校の歴史的資料を御提供いただきました。御提供いただいた資料は、印刷物とCD-Rに収められた以下の資料です。

「写真で見る 大宮工高音楽部のあゆみ」
 昭和12年(1937)~ 昭和45年(1970)

「大宮工業高等学校 吹奏楽団 活動の記録」
 昭和12年(1937)~ 昭和60年(1985)

時代の移り変わりとともに、現在、本校には吹奏楽団はありませんが、当時の華麗なる活躍をうかがい知ることができました。
御提供いただいた各資料は、4年後に迎える100周年の貴重な資料として活用させていただこうと思います。資料を御提供いただきました先輩に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

【校長室より】嬉しい出来事

5月8日(土) 今日は、授業公開とPTA総会に伴い土曜授業が行われました。
新型コロナウイルスの感染防止の観点から、教室内には入っていただくことはできませんでしたが、多くの保護者の皆様に授業を参観していただきました。

その後行われたPTA総会では、すべての議案をお認めいただき、新体制による令和3年度のPTA活動がスタートしました。新型コロナウイルスの影響がまだまだ続くものと思いますが、保護者の皆様の御協力のもと、よりよい学校づくりを進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

PTA総会を終えて校長室に戻ると、今年3月に卒業した卒業生が訪ねてきてくれました。早速名刺交換をし、近況を聞いてみると、毎日が充実していて楽しく仕事をしている様子を伺い知ることができました。卒業生が訪ねてきてくれること。卒業生と名刺交換ができること。そして、充実した日々を過ごしていることを知り、とても幸せな気持ちになりました。これからも身体に気を付けて頑張ってもらいたいと思います。とても嬉しい出来事でした。

【校長室より】社会に役立つものづくり

4月21日(水) さいたま市の土呂町自治会から依頼を受けて、新型コロナウイルス禍の中で、感染拡大防止を徹底しながら3か月かけて建築研究部の生徒たちが、製作してたベンチ10脚を土呂公園に設置しました。
学校の授業の中では、様々な知識や技術を学ぶことはできますが、実際に社会の中で使っていただくもの、社会に役立つものづくりを経験することは、地域の皆様の御支援と御協力がなければ取り組むことはできません。
土呂町自治会の皆様、このような素晴らしい機会をご提供いただきありがとうございました。
そして、建築研究部の皆さん、御指導いただいた顧問の先生方、お疲れ様でした。ありがとうございました。

【校長室より】ツツジの花言葉のように

本校が位置するさいたま市は、今日から「まん延防止等重点措置」適用地域となりました。これを受けて学校での教育活動が大きく影響を受けることはありませんが、これまで通り、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しながら歩みを進めてまいりたいと思います。

最近の暖かさに誘われて、正門から昇降口までの植込みのツツジが、いつの間にか満開の時を迎えています。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためには、このツツジの花言葉(節度、慎み)のように、節度ある行動を送ることが求められています。我慢の日々はまだまだ続きますが、私たち一人一人の節度ある行動が、自分や家族を守り、誰かの命を救ることにつながります。頑張りましょう!

【校長室より】令和3年度が本格始動しました

4月8日(木)、令和3年度が本格始動しました。
今日の午前中は、全日制課程の着任式と第1学期始業式、午後1時30分からは、全日制課程の入学式が行われました。そして、午後5時からは定時制課程の入学式、その後、午後6時30分からは、定時制課程の着任式と第1学期始業式が行われました。

始業式では「能ある鷹」について、入学式では「夢を持て!」「失敗を恐れるな!」「優しくあれ! 心強くあれ!」について式辞を述べました。

令和3年度も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

全日制令和3年度入学式及び第1学期始業式の式辞(要旨)は、こちらをご覧ください。
定時制令和3年度入学式及び第1学期始業式の式辞(要旨)は、こちらをご覧ください。

【校長室より】思いがけない卒業生との出会い

出張からの帰り道。大宮駅から川越線に乗り込むと、目の前でにこやかに何度も会釈する青年の姿。私服のため一瞬「誰?」と思ってしまいましたが、間違いなく本校の卒業生。生徒会で活躍していた頃の姿を思い出しました。卒業して、まだ1か月も経っていないのに、大人になったなぁと感じました。
川越駅までの約20分。飛沫が飛ばない程度に楽しく会話。4月1日に行われた入社式の翌日から、数年間は研修のため広島県に行くことになった卒業生のことをはじめ、卒業生の情報もいろいろと教えてもらいました。
卒業生の皆さんには、新しい環境の中で戸惑うこともたくさんあるかと思いますが、前途洋々たる人生を正々堂々、そして、楽しみながら歩んでいってもらいたいと改めて思います。思いがけない卒業生との出会い。とても幸せな時間でした。また会える日を楽しみにしています。

【校長室より】令和3年度がスタートしました

4月1日。慌ただしさの中、令和3年度がスタートしました。昨日と異なるのは、先生方の顔ぶれ。新聞でも紹介されてた通り、多くの先生方が本校を後にされ、多くの先生方が着任されました。
本校を後にされた先生方には、これまで生徒たちのために御尽力いただきましたことに心より感謝申し上げます。新型コロナウイルス禍の中ではありますが、ご自愛の上、ご活躍されますことをお祈り申し上げます。
そして、本日付で着任されました先生方におかれましては、ようこそ大宮工業高校へ。心より歓迎いたします。御負担をおかけすることが多々あるかと存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

桜が満開の時を迎え、私たちの目を楽しませてくれています。この時期、どうしても桜に目が行きがちですが、足元の躑躅や満天星躑躅がいつの間にかたくさんの蕾をつけています。きっと入学式の頃には、新入生のように桜には若葉が芽吹き、躑躅や満天星躑躅、もしかすると花水木が満開の時を迎えているかもしれません。

【校長室より】春爛漫

暖かく穏やかな日、二・三日前までは蕾が目立っていた桜が一斉に咲き、まさに春爛漫。学校では、春休みが始まり、先生方は来年度の準備に追われ、あわただしく動き回っています。

桜の木に囲まれた校庭では、他校から多くの生徒を迎え、サッカー部の生徒たちが練習に励んでいます。やはり、生徒たちが躍動する姿を観ることができるのは幸せなことです。

生徒たちには、このような日々が長く続けられるよう、引き続き新型コロナウイルス感染防止対策に努めてもらいたいと思います。

【校長室より】令和2年度が幕を閉じました

あたたかい日が続き、校庭の桜も咲き始め春爛漫の日が近いことを知らせてくれています。

短いようで長かった令和2年度が、今日の表彰式と終業式をもって終わりました。新型コロナウイルス禍の中、生徒たちは本当によく頑張ってくれました。その成果は、本日終業式の前に校長室で行われた表彰式の様子からもわかります。

令和2年度を振り返ると、緊急事態宣言が発令されていたことから、残念ながら修学旅行は中止となってしまいましたが、他の行事は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じながら、規模を縮小しながらも実施し、教育活動を前へと進めることができました。

生徒の皆さん、保護者の皆様、先生方、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。令和3年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。

全日制令和2年度第3学期終業式 式辞(要旨)は、こちらをご覧ください。
定時制令和2年度第3学期終業式 式辞(要旨)は、こちらをご覧ください。