式辞・講話等

式辞・講話等(全日制)

【式辞・講話等(全日制)】令和2年度第2学期終業式 式辞(要旨)

おはようございます。

 新型コロナウイルス禍の中での終業式ということで、今回も全校が一堂に会することはできず、ネットと放送による終業式となりました。

8月25日からスタートした、例年よりも少し長かった2学期も今日で終了します。

2学期を振り返ると、新型コロナウイルスの脅威にも屈せず、皆さんは協力して、体育祭や宮工祭、そして、2年生はインターンシップなどの大きな行事をはじめ、専門分野での学び、部活動などに、真摯に取り組んでくれました。

 その成果は、昨日の表彰式での賞状の数にも表れていると思います。

 そして、特に3年生は、人生の岐路に立ち、採用試験や入試に、悩みながらも、それぞれの進路実現を果たすために頑張ってくれました。

まだまだ、採用試験や入試は続いていますが、その真摯に取り組む姿勢に改めて敬意を表したいと思います。

 しかし、進路が決まったことはゴールではなく、新たな生活へのスタートです。

4月からの新たな生活が始まるまでの間に、さらに自分の力を高め、力を蓄え、十分な助走がつけられるよう努力してください。

 

 毎年12月14日に、日本漢字能力検定協会が「今年の漢字」を発表していますが、今年の漢字は何であったか覚えていますか?

 皆さんも予想していたのではないかと思いますが、今年の漢字は「密」でした。

これは、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、「密閉」「密集」「密接」を指す3つの密、「3密」が掲げられたことからも予想しやすかったのではないでしょうか。

 皆さんは、この1年を漢字一文字で表すとすると、どんな漢字が思いつくでしょうか?

 私が最初に思いついたのは、「惑:まどう」と「迷:まよう」という漢字でしたが、その後、惑ったり、迷ったりしたことで、様々なことを様々な角度から常に考えていたことから、私にとっての今年の漢字は「考:かんがえる」としました。

 たまには、このような観点で、1年を振り返るのもよいのではないかと思いますので、皆さんも、ぜひこの1年を振り返り、自分にとっての今年の漢字を考えるとともに、この1年でどのような成長があったかを自分なりに確認し、新年を迎えてもらいたいと思います。

 

 さて、今日は2学期の終業式にあたり、1つの話と1つのお願いをさせていただきたいと思います。

 もう1年前になりますが、今年の1月1日に発刊された新聞広告の文章を紹介します。

大逆転は、起こりうる。

わたしは、その言葉を信じない。

どうせ奇跡なんて起こらない。

それでも人々は無責任に言うだろう。

小さな者でも、大きな相手に立ち向かえ。

誰とも違う発想や、工夫を駆使して闘え。

今こそ自分を貫くときだ。

しかし、そんな考え方は馬鹿げている。

勝ち目のない勝負は、あきらめるのが賢明だ。

わたしはただ、なす術もなく、押し込まれる。

土俵際、もはや絶体絶命。

 

これは、幕内最小力士と言われている炎鵬(えんほう)関を起用した 株式会社そごう・西武 が、今年1月1日に発刊した朝刊の新聞広告の文章で、そのままではとても気が滅入る文章です。

 しかし、この広告の下には、小さな文字で、「ここまで読んでくださったあなたへ。文章を下から上へ、一行ずつ読んでみてください。逆転劇が始まります。」と書かれていました。

土俵際、もはや絶体絶命。

わたしはただ、なす術もなく、押し込まれる。

勝ち目のない勝負は、あきらめるのが賢明だ。

しかし、そんな考え方は馬鹿げている。

今こそ自分を貫くときだ。

誰とも違う発想や、工夫を駆使して闘え。

小さな者でも、大きな相手に立ち向かえ。

それでも人々は無責任に言うだろう。

どうせ奇跡なんて起こらない。

わたしは、その言葉を信じない。

大逆転は、起こりうる。

 

 このクリエイティブな広告は、絶体絶命のピンチの時に、そこであきらめるか、それをバネにして乗り越えようとするか、見方考え方ですべてが変わることや自分の力を信じる大切さを教えてくれています。

 今思えば、これから起こる新型コロナウイルスの猛威を予感し、それに立ち向かう勇気を与えてくれている言葉であるかのようにも感じます。

  

それでは、生徒手帳を出してください。

表紙をめくり、校歌の歌詞を見てください。

本校の校歌は、難しい言葉がたくさん使われていますが、素晴らしい歌詞が綴られています。校歌についてはいずれどこかで触れたいと思いますが、一番の校歌の冒頭に、「淳樸神を敬えば、黎明の幸渥からん(じゅんぼく かみをうやまえば、れいめいのさち あつからん)」とあります。

 ここに書かれている「黎明(れいめい)」、生徒会誌のタイトルにもなっている「黎明」には、あけがた。夜明け。という意味があり、転じて、ある事柄が形になる前の始まりの時を意味しています。

 今は、新型コロナウイルス禍にあり、世界が過去経験したことがないほどの混乱期であり、ピンチの日々が続いています。

しかし、そのピンチの中で、様々なものが形づくられています。

 まさに、新しい時代の夜明け、新しい時代の始まりに向けた黎明期であり、いたるところにチャンスがあり、「黎明の幸渥からん」の状況にあると思います。

 このような時を、ただ混乱し、慌てふためいたり、諦めて何もしないで過ごすか、チャンスとして捉えることができるかどうか、訪れているチャンスに気がつくかどうかは、皆さん次第です。

また、チャンスとして捉えることができても、何の備えもなければ、自分の力を信じることはできません。

 ましてや先ほど紹介した広告のように大逆転を起こすことなど絶対にできません。

 信じられる自分になるためにも、大逆転を起こすためにも、大切なことは、夢を持ち、それに向かって努力すること。自分の力を高めること。力を蓄えること。そして、様々な角度から考えること。たどり着くまで諦めず考え抜く強い精神(こころ)を培うことです。

 今からでも遅くはありません。

これからの新しい時代を切り拓き、創造していくという崇高な使命を持つ皆さんには、これからも本校の校訓「至誠一貫・質実剛健」のもと、夢を持ち、その夢を実現するために必要となる力を蓄え、そして、夢を実現するまで諦めない強い精神(こころ)を培っていってもらいたいと思います。

 

 最後にお願いです。

冬休みを迎えるにあたって、私からのお願いは1つ。

1学期の終業式でもお願いしましたので覚えていてくれているのではないかと思いますが、

 「死ぬな! ケガするな! 悲しませるな!」ということです。

もう一度言います。

「死ぬな! ケガするな! 悲しませるな!」

必ずこれを守ってください。

 

それでは、年明け、冬休み明けの1月8日に、皆さんの元気な笑顔に会えることを楽しみにしています。

くれぐれも身体に気を付けて、有意義な冬休みを過ごしてください。

 

令和2年12月20日

埼玉県立大宮工業高等学校長 清水雅己