柔道部日誌
【柔道部】指導者の思い・2
全国高校野球選手権大会が終わりました。
開会後の残念なニュースもありましたが、『グッドルーザー』という表現が広まるほど、選手たちの清々しさは観ている人を温かい気持ちにさせました。また、仙台育英高校の須江監督は2部制になった今大会を『人生最高の夜ふかし』と形容しています。選手の目線に立ち豊かな表現で語る須江監督は、選手たちと一緒に試合を楽しむことのできる方なのではと感じます。
優勝した沖縄尚学高校の比嘉公也監督は、3年生の時、左腕エースとして春の選抜大会に出場。沖縄に初の優勝旗をもたらしたチームは大きな話題となりました。その後、監督として就任した2008年にも同大会を制しています。
比嘉監督曰く、監督の役割は、技術指導よりも、環境を整え選手達に気づかせてやること。過去のインタビュー記事によると、指導の軸は「野球だけしにきた、は駄目」という理念にあるようです。
「毎日同じ通学路でも、なにか変化を発見する感性を養って欲しい。それは人生を豊かにすることにもつながるし野球とも結びつく。見つけられなくても見つけようとする意識で見ることが大事なんです。どこのチームだってユニフォームを着たら一生懸命練習する。だから、ユニフォームを脱いだ後が勝負だと思うんです。授業や教室での態度が、そのまま野球にもつながることもある。」
(2009.09.03 「Sports Graphic Number」より)
宮工柔道部の部員たちも、日頃、鯉渕監督から「道場の外でどう見られるかが大事」と諭されています。学校生活のほとんどは道場の外で過ごすのだから、そこがきちんとしていなければいけない、と。ありがとう、ごめんなさい、がきちんと言える。人のために動ける。面倒なことを投げ出さない。声を出して反応する。大切なのは、勝つこと・強いことではなく、それを目指した過程で育つ人間性です。先に生き、たくさんの人に出会い多くの経験をしている大人は、それを伝え続ける責任があるのではないでしょうか。そのきっかけのひとつが部活動です。部活動は子どもたちの人格形成のツールであって、指導者が手柄を立てる場所ではないのです。
成果を上げているからと驕ってはいけません。
指導できるからと、自分が快適なことを優先してはいけません。
部活動は生徒のためのものなのですから。
【柔道部】試合のための練習
『なつやすみ 試す期間は あとわずか』
17日からの3日間は、関東圏の高校が中心に集まる錬成会。監督から繰り返し伝えられている“試合のための練習”をする機会も大詰めです。
この試合に救護として携わってくださったのは呉竹医療専門学校の皆さん。宮工柔道部のOB、根米の姿もありました。ケアの傍ら、後輩たちの試合に目をやります。
どんな時も、先輩たちの存在は心強いもの。20日からお邪魔した順天堂大学では新井が迎えてくれ、懐かしい宮工の道着で胸を貸してくれました。
監督たちにとっては、卒業生として、自分のチームを連れ母校に顔を出すのは誇らしいことですし一番の恩返しにもなるのではないでしょうか。
順柔杯では、試合結果を受け、青柳と篠宮が優秀選手の表彰を受けました。
明日から3日間はオフ。体のケアとここまでの取り組みを整理して、最終週に入ります。
【柔道部】指導者の思い・1
昨日から3日間は、県立武道館改めリプロ武道館での練習会。第一道場には、地区を越え県内の中高生柔道部が集まっています。
道場に響くのはメリハリのある大きな掛け声。引退後も欠かさず練習に参加してくれている3年の埜口は「いいねー、元気元気」と、一歩引いたところから雰囲気を感じていました。
指示に対する返事、素早い動き、乱取り前の気合の発声は、集団のまとまりを感じさせます。昨今、そのような光景に眉をひそめる風潮もありますが、果たして本当に訝しがられるものでしょうか。
大阪で宮大工養成塾を経営する金田優氏。
習得まで「10年で一人前」と言われる技術を3年で身につけさせたいと、寺社の修理を安く請け負い現場体験をさせながら将来の宮大工を育てています。後世に受け継ぐために金田さんの念頭にあるのは「進化させる責任」。単に伝統技術を守るだけでなく、その前提である礼節や精神を伝えたいと生徒と向き合う様子は、メディアにも取り上げられています。
養成塾の1日は「◯◯な人から仕事があります!」という23箇条の発声から始まります。食事は黙食、知識を先に得て理解したつもりにならないように携帯電話も禁止です。
また、当たり前のことが当たり前にできていない時には厳しく叱ります。
たとえば、課題の前段階に必要な宿題をやってきていない塾生には「何しにここに来たの?やる気がないならやることない」、他の塾生が課題に取り掛かる中、やっていない宿題を始めると「それは自習でやること。お前がやりだしたら、みんながやりだす。悪い影響与えるな!やってる人の作業見とけ!」。“令和の常識”からすれば厳しいという感想を持たれるのかもしれませんが、一連の金田さんの塾生への接し方には、優しさだけで人は育たないという信念が見えます。
「今の子たちは社会に出て腫れ物に触るような教育をされてる、鶴の一声で「右向け右」で動くような若い子は絶対いないですよね。逆にいたら、価値がものすごく高く感じませんか?」
チームとしての統率力が伝わる掛け声も、これと重なるところがあるのではないでしょうか。
【柔道部】夏の光景
夏休みの稽古は、厳しさの中にも賑やかさが。卒業生たちの来訪です。
改修工事が終わり利用できるようになった県立武道館での合同練習に来てくれたのは、3月に卒業した髙橋。弟と一緒に稽古に参加し汗を流していました。
学校での稽古に参加してくれたのは大学4年生になった和久井。教育実習を迎える先輩たちは、挨拶や打ち合わせに訪れた傍ら、こうして後輩たちに稽古をつけてくれます。
地区大会まで1ヶ月。「失敗できるのは今だけ」という監督の言葉を良い緊張に変え、日々の稽古を手応えを得るものにしていきたいです。
【柔道部】支え
8月になりました。
代替わりはしましたが、3年生のサポートは続いています。それは校内での稽古に留まりません。昨日は坂本が、本日は梅津が、出稽古先の川口市立高校まで来てくれました。
反復をする後輩の近くでアドバイスを送ったり、
年下の子の受けに回ったり。
片道2時間をかけての参加は、なかなかできることではありません。後輩たちにとって本当にありがたいことです。
「お前たち、仲良いな」とOBが言うほど、ひとりひとりはちっぽけなことを理解してみんなで大きくなろうとしてきた3年生たち。だからこそ、人のつながりを感じてこうした行動をとれるのではないでしょうか。
【柔道部】突き抜ける夏
柔道部の夏は、九州遠征から始まります。
21日、金鷲旗高校柔道大会に出場するレギュラーメンバーは鯉渕監督と共に福岡へ出発しました。
10の試合場が整えられた会場には、オリンピック選手も訪れていました。こんなに大きな会場で臆せず試合をできる選手たちに感心します。
最終日はリラックスした様子で散策を楽しんだようです。
23日には後発の部員たちも合流。翌日に埼玉へ帰る3年生4人と入れ替わる形で、熊本へ強化合宿に向かいました。
この合宿のテーマは「試合の練習をする」。監督が繰り返し意識づけをさせるのは、徹底する・考える・試す、の3つです。
女子部員の篠宮も合同チームで団体戦に出場し、ビハインドで始まった試合の勝利に貢献しました。
宿の食事はバランスの良い献立でした。たくさんお代わりできるようにお米を炊いてくださった女将さんに感謝です。最終日の26日は、午前中の練成試合に合わせて補食も用意してくださっていました。本当にありがとうございました。
大きな怪我もなく、無事に1週間の遠征を終えることができました。保護者の皆様、遠征費にご協力いただきありがとうございました。“行って終わり”ではなく、ここで見つかった課題を振り返り、稽古に生かしたいと思います。
【柔道部】変わり目
終業式を迎え、柔道場のホワイトボードには夏休みの練習日程が貼り出されました。
次に監督がスケジュールを書き込む時には新チームの体制も決まっていることでしょう。直近の金鷲旗柔道大会に向けて、3年生は最後の調整に入ります。
さて、15日、16日は他県の高校生たちと稽古をしました。
1,2年生に向けて監督の声が飛ぶ場面が増えているのも、変わり目を感じさせます。
【柔道部】特別な瞬間
週末のたびに使えなくなる学校施設…。なかなか落ち着いて稽古ができません。土曜日は強豪校が集まる国体練習に参加、日曜日は上尾鷹の台高校にお邪魔して合同練習をさせていただきました。
久しぶりにたくさんの卒業生が顔を出してくれ、母校の道場で集えなかったことがますます残念でなりません。それでも後輩たちは嬉しそうで、キャプテンの坂本が高校入学前からずっと一緒に稽古をしてきた髙橋の姿を見て喜ぶ場面もありました。
そんな中、この日は貴重な光景が!めったに観られない監督の乱取りです。
子どもたちは、強い!巧い!と、感動の嵐。
数年前の部員の中には「先生と乱取りしたかったな」と呟く子もいました。組むのも観るのも、子どもたちにとっては気持ちが高まる時間だったのではないでしょうか。
【柔道部】没頭
4日間の期末考査を終え、通常の稽古再開です。本日は反復を中心に短い稽古の後、道場の掃除を行いました。
監督は、いつもの掃き掃除と合わせて畳に付いたテーピングの擦れ跡をきれいにしようと声をかけました。が、始めると没頭してしまう柔道部。雑巾と箒では用が足りなくなったのか、養生テープやつまようじを使って細かい部分の埃まで、余すところなく取り始めました。
棚や椅子、扇風機なども移動させ、隅々まで綺麗に!さながら大掃除です。
道場の外に周って窓の桟を掃除する仲間とお茶目なやりとり。
きれいになるまでやる。
できるようになるまでやる。
掃除も稽古も同じですね。
【柔道部】大切なもの
「勝ち負け以上に、自分らしくやりたいことができたか」
「強いだけではなく、人としての中身が育っているか」
毎日の稽古で、部員たちは監督からこのような言葉をかけられています。
一方、大会の場では教員同士もコミュニケーションを図ります。過日の大会で他校の先生のお話を伺っていた時のこと。耳に残ったのは、鯉渕先生も仰っていると思うけど、と前置きをしつつある先生が仰った「柔道を離れてからの人生のほうが長いんだから」の一言です。
柔道に限らず、社会に出て部活動の戦績を語っても、多くの場合“そうなんだ”で終わってしまう。活動から離れた瞬間、価値が変わってしまうものに時間を費やす意義は、勝敗とは別のものではないでしょうか。
国語の教科書に著書が掲載されることが多い内田樹さん。武道家でもある氏の文章が「負け方を習得する」という教材で使用されました。その結びの段落。
死ぬまで全ての勝負に勝ち続けることは誰にもできない。私たちはいつか必ず敗北の日を迎える。その時に、誰からのリスペクトも期待できず、何の教訓も学べず、ただひたすらに不快な後味だけを残すような「無意味な敗北」を引き受けるということでよいのだろうか。
勝つ以上に多くの利益をもたらす負け方が時にはある。そのことを習得することが我々にとって喫緊のことだと私は思う。
挨拶ができる、他者を敬える、思いやりを持てる、率先して動ける…人間力は経験の中でこそ身につくものだと思います。監督から「道場の外で、どう見られるかが大切」 と諭されている宮工柔道部の子どもたちは、長い人生の財産になるものを得ていると感じます。