柔道部日誌
【柔道部】できることを全力で
新チームで挑む秋季南部地区大会。
2年・坂本の表情は引き締まっていました。
6月の関東大会後、痛みがあった腰の症状が悪化して稽古から離れざるを得ず、夏休みも終わる頃、ようやく道着を着られるようになった時には心の底から嬉しそうな表情を見せていました。ここまでの間、治療とトレーニングを地道にこなし「キャプテンなのに練習できてないけどいいのかな…」と不安も口にしながら、稽古中、熱心に仲間に声をかけていました。
シード権もかかる今大会の団体戦、チームは決勝リーグの第一試合でつまずき苦しい展開に。
明暗を分ける最後の試合、中堅の坂本は必死に一勝を取りにいきます。前日の個人戦を一試合に止めたのも、今日と今後の大会のため。上を目指す足がかりを作るには絶対に取らなければいけない勝利に貢献しました。
常に万全な状態で試合ができることはありません。怪我をかばいながら、復帰直後で思うような調整ができない、ということは往々にしてあります。そういう状況でも、できることを明確にしてやり抜く。それができるように、日々、盤石の備えをする。絶対に合格しなければいけない試験でも、体調が悪ければ適当に解答する?力を抜いて面接をする?そんなことはないはずです。今、求められていることは柔道だけに必要なことではありません。
自信がないなら、自信がつくまで努力するしかないのです。泣いていいのは、本気の時間を積みあげた人だけ。気迫の勝負に勝つことができるのは、そういう人です。
そして、部活動は共通した思いを持った人の集まりです。その中で目標を定めている仲間の思いに気付き、受け止め、雰囲気を作り上げることは同じ場にいる者の義務でもあります。
3年生の引退が近づいてきてからの坂本は明らかに変化がありました。人を引っ張ったり中心になって声を出したりすることがそれほど得意な選手ではありません。それがこの一年で、自分のために、チームのために、変わっています。そういう仲間についていこうとする思いが、チームを押し上げるのです。
順風満帆な新チームのスタートとはならなかった今大会、「このままじゃ嫌だ」と奮起してくれることを願います。
【柔道部】大舞台への道
1、2年生が主役となる初めての地区大会まで1週間を切りました。
本日の会議でトーナメントが決まり、監督からは、ここから先の大会を見据えた短期目標のお話がありました。
大なり小なり、個々に怪我を抱えている今回、チームとしてのコンディションは不安が拭えません。ただ、激しい競技ですからそれは当たり前。一人ひとりの状態を見た監督の細やかな裁量に合わせて、練習量を加減しながら調整に入ります。
【柔道部】挑戦を前に…
順柔杯から戻り、夏休みの仕上げは錬成会。
慣れない場所、知らない相手、気がかりなコンデション…。どんな状況でも自分がやることをやる。これを徹底して意識するための試合です。
卒業生も力を貸してくれました。関東学生柔道体重別選手権大会で準優勝し、全日本学生大会と講道館杯への出場を決めた松本からは審判のお手伝いの申し出が。遠慮していた鯉渕監督でしたが本人の「ぜひ!」という一言に、居てくれれば後輩たちの励みになるよ、と快諾。
夏休み最終日の練習には、仕事の休みを利用して来てくれた卒業生もいました。
後輩たちを煽って盛り上げてくれた先輩方。練習後には、がむしゃらさがない、手応えがなくて物足りない、と言葉がありました。普段、監督から指摘されている覇気のなさや気持ちの弱さは誰が観ても感じる部分だということが明確になりました。コロナ禍で高校生の柔道を満足にできなかった彼らは多くの制限の中、「ここまではやっていい」という範囲が分かると限界まで全力でやり抜いてきました。そういう先輩方にとって、現役生は不甲斐なく映るのだと思います。
翌日の東京都学生柔道体重別選手権大会に出場する粕谷からは「大宮工業の名前載せられました!なんか嬉しいです!」のメッセージと共にパンフレットの写真が届きました。先輩たちが共通して持っている『宮工柔道部』への想い。現役生が呼応して奮起することを願います。
本日で夏休みの練習は終了です。
遠征費や日々の送り迎えで子供たちのサポートをしてくださった保護者の皆様。
合同チームを組んだ他校の監督並びに選手の皆さん。
連日、合同練習を行なった高校生の皆さん。
差し入れと激励をくださった関係者の方々。
今年の夏もお世話になりました。
ありがとうございました。
【柔道部】始まりの場所
23日から千葉県に乗り込んだ宮工柔道部は順柔杯に参加しました。ここを巣立った卒業生たちが指導者となり部員を連れて参加する、順天堂大学主催の大会です。
卒業生の木札に目をやりながら恩師を交えて談笑する様子は、なんとも誇らしげ。ここでやってきたという自負ですね。
24日の試合は、せっかくなので合同チームを組みました。蕨高校、所沢中央高校の皆さんと顧問の岡田先生、岡安先生。ありがとうございました。
遠征最終日の25日。坂本の隣で打込をするのは宮工卒業生の新井です。懐かしい道着で、坂本の反復練習に付き合ってくれました。
練習後の挨拶の際、監督の廣瀬先生は「高校生の君たちは、うまくいかないこと、ひとつひとつが積み上げです」とお話ししてくださいました。個々のコンディションやチーム事情、不安が先行する私たちにとって救いになる言葉でした。3日間、大変お世話になりました。ありがとうございました。
【柔道部】後半戦開始!
今日から夏休み後半戦。
ここまでの期間は小中学生と一緒に練習する日が続きました。「相手の立場に立って考えることを学びつつ、柔らかい雰囲気でも自分で緊張する場面をつくる」という精神力が試される日々の連続。子供たちを見ていると、体力とは違った疲労感もあったのではないかと思います。
本日から3日間は通常のテンポに戻り、関東近県の高校が集まる錬成会に参加します。たくさんの強豪校と練習ができる錬成会は、自分の力を試すと同時に怪我をしないで終わることも重要な目標です。
県内の高校生たち、初日は畳敷きを含め会場準備から行いました。こちらは開始式。上からの景色は壮観です。
午前中は元立ち乱取り。400名以上が参加していることもあり、お願いしに行くのも瞬時に目的と合う相手を見つけるのも一苦労です。当たれずに畳を下りた部員たちは一番前に陣取り、次のチャンスを待ちます。
午後は練習試合です。
お互いに声を掛けあう。自分の課題を明確にする。普段練習していることを出す。
基本は毎回同じ。分かってはいるけれど、余裕がなくなるとどこかに甘えが生じます。常に本番の試合を想定して気持ちをつくるのも、こうした場で学べる大切なことです。
【柔道部】温故知新
賑やかな合同練習が1週間続き、本日は久しぶりに宮工だけでの稽古です。打ち込みと研究を中心に、監督から細かい部分の技術を教わりました。
早めの昼食をとり、午後の大会準備に取り掛かります。本日、役員参加をする関東高段者大会は『講道館柔道試合審判規定』に則って行われます。≪参考:https://www.judo-ch.jp/rule/koudoukan_judge/≫「有効」「教育的指導」など普段の大会では聞き慣れない言葉もあり、タイマーの操作方法も若干異なります。説明を聞きながら、いつになく真剣な生徒たち。
オリンピック後の、このタイミングで、精神修養を第一義とした柔道の規範とも言えるルールで行われる試合を間近に観る貴重な機会。子どもたちが感じるもの、生かすものが必ずあると思います。
【柔道部】経験値を深く!
県立武道館をお借りしての稽古が本格的に始まりました。
環境の良い施設を本校だけで使用するのはもったいないと幅広く声をかけ、連日、県内の中学校・高校、近県の高校と合同で活動しています。
本校柔道部OBの岡安先生が指導を任される場面もあれば、
監督と乱取りを楽しむ卒業生の姿も有り。
同期と参加する先輩方の姿も有り。
帰省中、「監督に顔を見せるなら母校」と思う卒業生は多いようです。それでも、こうして近況報告に来てくれたり成長したところを見せてくれたりする教え子の姿は頼もしく映るのではないでしょうか。
準備や片付け、乱取りの指示など、監督の声に合わせて宮工生がリードします。合同練習では、年齢も技術レベルも違う子がたくさんいます。「お互いを思いやって練習しよう」を合言葉に、稽古は続きます。
【柔道部】まもるもの
オリンピックの柔道競技が終わりました。
期間中、テレビでは歴代のメダリストたちが解説をされていました。その中の一人、大野将平さんが繰り返し伝えていた「しっかりとふたつ持って組み合う柔道を見せて欲しい」という言葉に賛同した人もいたのではないでしょうか。
審判の質を問うニュースが連日報道される中、選手たちの戦い方や様々な振る舞いも話題になりました。柔道が海外の人を惹きつける武道であることは間違いありません。おそらくは、力強い技やダイナミックな動きが華やかに映ったのでしょう。ただ、柔道の目的は力自慢をすることではないのです。
柔道着の白は、修行にあたり心にやましいところがなく、すべてを捨て去り無になって打ち込む信念を表します。また、大野さんは「日本の柔道家にとって白は、死を覚悟して試合に臨むという死に装束の意味がある」と話します。内面を体現するのが柔道の教えであり、見えない内を鍛えることが大切にされてきた「良さ」ではないかと思います。
柔道、剣道、書道、茶道……。「道」にはテストのような100点(=ゴール)がありません。だから、それを追い求める「稽古」は時として苦しい。そして、稽古とは「古(いにしえ)を稽(かんが)える」ことです。「柔道」が「JUDO」と表記されるようになった今、勝敗を決する競技性が先に立って「お互いの道徳性を高める」という本来の理念が置き去りにされているのは寂しいことではないでしょうか。
嘉納治五郎は「最善を尽くした上の勝敗は男子の本懐也」と説いています。勝者の振る舞いもさることながら、とりわけ試合内容に視線が注がれるのはそのためでしょう。
正統派は不器用かもしれませんが、堂々としていてやはりかっこいいです。私たちの文化に魅力を感じてもらえるのはとても光栄なこと。けれど、大きなものに押されて本流から外れていくのは残念なこと。そういう違和感に対して、発祥の日本で柔道をする者だからこそ“護れるもの”があると思います。
普段の稽古でも響く「ふたつもつ!」の声。大野さんの言う「正しく組んで、正しく持って、正しく投げる」を徹底する意義と重なって聞こえます。
【柔道部】時は巡る
8月になりました。
代替わりを迎え、3年生の整列は一番後ろに。前で指示を出すのは新キャプテンの坂本です。
最上級生が後ろから見守る形になるこの並びは少し寂しくもありますが、伸び伸びと柔道をしている様子は肩の荷を降ろしてホッとしている風にも感じられます。
柔道場の掃除も大詰め。改修工事に伴い、4日の稽古を最後に5日以降はしばらく校外での練習になります。精神的なしんどさが増しますが、より良い環境を得るための我慢。9月からの大会で成果を残そうと思えば、大変などとは言っていられません。不利な時期をみんなで乗り越えます。
【柔道部】“掴む”夏
宮工柔道部の夏は、遠征から始まります。
21日、金鷲旗柔道大会に出場する先発組は福岡へ。この間、受けやトレーニングなど、佐川が練習のサポートをしてくれました。
23日に合流した後発組と共に、24日は熊本へ移動。25日、26日は山鹿灯籠旗大会・柔道フェスタに参加しました。これは全国で最も早い、新チームで挑む大会です。北は北海道から南は九州まで、の言葉どおり、40校近くもの高校が集まりました。
≪対戦結果≫
社 (兵庫)0-1 大宮工業
新鉄原(韓国)3-1 大宮工業
五島(長崎)1-3 大宮工業
沖学園(福岡)5-0 大宮工業
(パンフレットにはこんな写真が。光栄です!)
26日の会場は、柔道フェスタに合わせて畳が敷き直されていました。相当な労力だったと思います。また、開会式では会場の使用方法に問題があったことが全体に伝えられましたが、この時の会長さんの言葉が印象的でした。「この場所は、いろいろな競技の団体が利用しています。昨日、“他競技の方々と比べて使用方法がよろしくない”という話がありました。ここで見ている私たちはみんなが一生懸命に頑張っているのは分かるけれど、見ていない人たちには伝わりません。そのことで柔道という競技がマイナスに見られるのは悔しいし残念なことです。これだけ真剣にできるのだから行動も意識して、ひとりひとりが柔道の価値を上げていきましょう。」
「人としての善さ」が柔道の基本理念にあることを再認識させられるお話でした。
この日は5つの学校と練習試合を行いました。
県外の高校と練習する機会が増える夏休みは経験値を増やす大切な時期。ただ、それには自分の気持ちよいことだけをするのではなく苦手なことと向き合わなければいけません。その中で感覚を得て良いものをつかむのです。
出発前には保護者や学校関係者の皆様。訪れた先では柔道整復師の方や旅館の方々。たくさんの方のお力添えで、今年度も無事に大掛かりな遠征を終えることができました。
この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。