柔道部日誌
【柔道部】つなぐ試合〜3年生の意地〜
全国高校総体県予選・団体戦です。
このメンバーで戦うんだよ、と、チームで戦う意識を確認して畳に上がります。
一つでも上を目指す本日の大一番を辛くも乗り切り、準決勝の相手は埼玉栄高校です。ここまで控えとしてメンバーに声をかけ続けて来たキャプテン・髙橋の出番。「どこで出る」と選ばせたのは、チームの統率、後輩への気配り、結果を求められるプレッシャー…さまざまなものを一人で背負って来た髙橋への、監督からのご褒美だと思います。
技ありを取られてもすぐ攻めに転じる。
力に負けず簡単に投げられない。
守るものの無い吹っ切れた3年生たちは、相手から目を逸らさず前に出る積極的な試合展開を見せてくれました。
審判の傍ら、後輩たちの試合を見守ってくれた岡安先生は、鯉渕監督同様「3年生が最後に意地を見せましたね」と声をかけてくださいました。同時にメンバー全員が3年だったという自身の高校生最後の試合を振り返りながら、試合を見た下級生には練習でこの空気を出して欲しい、チームに嫌われ役がいるのも必要、と期待を寄せてくれました。
髙橋と島村は最上級生としてとても良いものを見せてくれました。ただし、これが常に出来ないと上にはいけません。「やり続ける」とは強い精神力が求められる難しいこと。そして「最後はきもち」と言われるように、それができる人が強い人。岡安先生始め、多くの先輩方は“意地の試合”を積み上げて宮工の戦績をつないできたのだと思います。
今日の2人の試合を新チームの土台として、ここからスタートです。
《試合結果》
大宮工業 5ー0 桶川
大宮工業 4ー0 八潮
大宮工業 2ー0 立教新座
埼玉栄 5ー0 大宮工業 第3位
【柔道部】全力ってきもちいい!
本日は体育祭です。
コロナ禍以降、午前中のみの半日開催となっていますがそこは宮工生。きれいに晴れた空の下、連合ごとのチームワークを見せてくれました。
選手宣誓は、体育委員の長を務める柔道部キャプテンの髙橋。
保護者撮影。監督も今日は体育科教員かつクラス担任です。
スピード勝負のリレーは見応えがあります。
パワー競技で頼られる柔道部。綱引きに棒取りに、島村は大活躍でした。
鯉渕監督率いる二組連合が優勝。3連覇を達成しました!
体育委員と一緒に片付け。陰ながら役に立てるのは素敵なことです。
みんな、お疲れさまでした!
【柔道部】懸ける
高校総体県予選団体戦まで1週間です。
2週間前の、卒業生からの言葉はとても印象的でした。
「なんで宮工なのかって考えて」
宮工の道場で稽古に励んだ当時を振り返る卒業生の話に共通しているのは「宮工で柔道をすること」に懸ける思い。各々が持つこだわりの軸としてそれがあったからこそ、強いチームをつくり続けてこれたのではないでしょうか。
先の関東大会で作成されたパンフレットには、各県の出場校が第一回大会から記されています。埼玉県最多出場の57回を数える宮工の名前を追うと、県内予選を優勝した年もあればしぶとく勝ち上がった年もあり、まさに『栄枯盛衰』。意地や信念が繋げてきた歴史です。
その歴史の先端にいる現役生たちに願うのは、彼らの挑戦が、勝っても負けても心から納得できる試合であること。それは、悔しい結果になった時に「泣く価値」のある稽古を続けてこれたかによると思います。
3年生には最後となる大会です。畳に上がる時間を大切にして、現チームの「信念」が見られることを期待します。
【柔道部】この物語
今年度もこの時期がやってきました。高校生が全国の挑戦権を得る“大舞台のための大舞台”。
宮工の活躍を願う卒業生たちからはチームの現状を気にかける連絡が届きます。コロナ禍で大切な大会を失った世代の卒業生は「1年あるとか2年あるとか思わないで。試合ができることって当たり前じゃないし、それを含めて、なんで大宮工業を選んだのか考えて一つ一つの試合を頑張って欲しい」と、後輩たちへメッセージをくれました。
高校生最後の大会に懸ける3年生。
初めての県大会に緊張する1年生。
初舞台からの成長が期待される2年生。
きちんと“試合”をしてきなさい、と監督から言葉をもらい、畳へ上がりました。
この大会、光っていたのは3年生の佐川。
入学当時は逃げが先行して、練習から離れようとすることも道場に入るのをためらう時もありました。一方でラントレや階段ダッシュを軽快なスピードでこなすスタミナは3年間変わらず、他の部員と競れる部分を見つけたことが3年間の継続につながったのではと感じます。
練成会や大会の団体戦で、佐川が記録した試合結果はとても丁寧。目立たないところで力を貸してくれました。団体メンバーに入りながら試合をせずに終わった時は保護者の方にすまなそうな表情を向ける、優しい部員です。チームに貴重な左組で、今季は相四つの稽古が必要な後輩と乱取りをしてくれることが多くあります。
今回、中学生の時から指導をしてくださった先生や試合の度に応援に来てくれる保護者の前で意地を見せられたのではないでしょうか。
24日の団体戦でも、「宮工柔道部」の一人として自身の役割を務めてくれることと思います。
【柔道部】孤独に克つ
インターハイ県予選、直前の週末です。
出場する階級の櫓を見て、選手たちは各々、決意や覚悟を持っているのではないでしょうか。
日々の稽古や練習に想定外のことはつきもの。怪我もその一つです。道場に響く声を聞きながら、いつも通り稽古をする他の部員を見ながら、もどかしさや焦燥感に耐える部員が毎年います。淀んだ感情を決して表に出さない心の強さには感心させられます。
物事の取り組み方に差が見えるのはどんな集団でも当たり前にあることかと思います。易きに流れる雰囲気を許さない姿勢を貫くのは自身の退路を断つことと同じですから、とても覚悟のいることです。目標だけを見て淡々とやるべきことをやり切ろうとする子の空気感は、自信の有無を超えたところにあると感じます。
『強者は最も素晴らしく孤独である』
哲学者・シラーの言葉。頂点に立つ人は、これを達観した人なのかもしれません。
【柔道部】見ているものは…
監督が不在の本日は、コーチを務める杢先輩が同期を連れて稽古を見てくださいました。
総体県予選が近いこともあって、話題は自然と在籍当時の思い出に。先輩方に共通しているのは、誰に言われなくても自身で意識していた点があったということです。他校の選手と自分を比較して、何が足りないかとかそのためにどうするかとか考えてたな…と呟く先輩方は、当時から自己分析もしっかりできていたんだろうな、と考えさせられます。観察眼も秀逸。柔道スタイルだけで個々に合いそうなポイントや気づいた点を伝えてくれていました。◯◯はこんな風に体をつくるといいと思う、△△は自分で考えてやってるからまずは自由にさせてみて…、と、後輩の特徴をつかんでアドバイスをくださいました。
先輩方から絶え間なく声がとび、いつもに増して集中力が高まります。…が、これは自分たちで雰囲気をつくれていないことの裏返し。昨年度までの空気感や気持ちの出し方が薄れてしまっているところを見ると、卒業した3年生に甘えていたと言わざるを得ません。とくに、1年生はまだ稽古の雰囲気を“自分事”としてとらえられていないよう。声出せるだろ、盛り上げろ、と何度も指摘を受けていました。
ちなみに、GSを想定した乱取りで一番目立っていたのは先輩方でした。ワクワクするとはこういうことですね。稽古の中で他の部員を惹きつける場面が一つでも多くあって欲しいものです。
【柔道部】関東大会
5月31日(金)、レギュラーメンバーは関東大会へ出発しました。
出発前、校長先生のところへ挨拶に伺いました。
今年度の会場・栃木県ユウケイ武道館は埼玉県立武道館を参考に造られたそうです。たしかに、よく似ています。
午前中はアップ。午後は計量を終えて開会式に参加しました。
6月1日(土)、1回戦の対戦相手は群馬県・樹徳高校です。
2回戦は、神奈川県予選1位の東海大附属相模高校。言わずもがなの強豪校と昨年度は3回戦で当たり、次鋒・粕谷の分けが精いっぱいでした。
どんなに強くても、相手は同じ高校生。「あの時、ここで気づいたことが結果につながった」と後に言えるよう、自分と向き合う一戦として記憶しなければいけません。
1週間後にはインターハイ県予選が控えています。ここからまた、稽古です。
《試合結果》
大宮工業 3ー1 樹徳
東海大附属相模 5ー0 大宮工業
【柔道部】きもち
毎日、稽古に必要な準備をするのは1年生の仕事。今年度の1年生たちを見ていると、全員が意識してすること・担当の順番を決めてすること、を決めて行っているようです。
《必要なものを使いやすいように並べます。余裕を持って動くための小さな工夫ですね。》
先を見て動くことや察する力に長けている点も1年生の特徴ではないでしょうか。野口と青柳は、稽古が終わると必ず最初に箒を持ち出して畳を掃き始めます。また、して欲しいことに気づけるのは松田。何も言われなくても使いたい道具をさっと渡してくれるなど、全体を見て“した方が良いこと”にアンテナが立つのはさすがです。
ちいさなところで率先して動く先輩たちもいます。2年の福島は今日も、他の部員が放りっぱなしのペットボトルを拾って片付けてくれました。日頃から後輩に声をかけつつ自分も動くのは坂本。全体のためになることを優先させて動ける先輩の姿は良いお手本です。
3年生になると道着もずいぶんくたびれてきます。
使い込んで軟らかくなっても、もともと生地の厚い柔道着は縫うのも一苦労だと思います。子どもたちからの頼みもあるでしょうが、大変な作業を厭わないお家の方の心遣い。
周囲の人の想いを受け取り、それに応える。その想いを次の人にパスする。部活動で学べることは技術以上に、こうした人との繋がりが大きいように思います。
【柔道部】いいところ探し
大会の場で見えるのは、試合の結果だけではありません。
先日行われたジュニアの大会で、試合動画を見直していた1年の篠宮にアドバイスをしてくれたのは、今大会は受けで会場にいた、本校卒業生の松本です。
大学生で三度、ジュニアの大会を経験し一年生の時には全日本ジュニア大会にも出場しています。歳の離れた後輩に、動画を繰り返し観ながら細かく指導してくれました。
また、遡ること4月。地区大会では2年の坂本が、他校の選手に頼まれてテーピングを貸す姿がありました。相手は自分が負けた選手です。悔しいだろうに、と声をかけると本人は「武道ですから」と一言。とても凛々しく見えました。
後に続く者を慮る。
雑念なく正しいことをする。
畳の外では、宮工で柔道に励む子どもたちの優しさに触れることができます。
【柔道部】思いはいつまでも
午後、学校を訪ねてこられたのは當間先生。先生もまた、宮工柔道部に在籍していた卒業生です。本日は周年行事の打ち合わせがてら、柔道部を激励に来たとのことでした。
教頭先生の案内で改修された道場に足を踏み入れ、昭和の元号から並ぶ賞状や写真を眺めながらたくさんの思い出を話してくださいました。
在籍していた頃の道場のこと、監督を務めた先生方の学生時代のことを振り返る中で、話題はやはり戦績に。苦しんでいる現状に仰ってくださったのは「出続けることが大事なんだよ」という一言です。かつて19年連続でインターハイ出場を果たした時代も今回は無理かなという時があったんだから、と、チームを率いている監督を労い「柔道部はたくさんの方のお世話になっているのだから周りへの感謝を忘れずに」と言葉を残して帰られました。
稽古をつけてくれる先輩だけでなく、こうして「柔道」の根本に立ち返るきっかけをくださる先輩もありがたい存在です。當間先生、お心遣いをいただきありがとうございました。