日誌

【柔道部】正しい努力

先日の稽古では、1秒ごとに打込みの形を確認する時間がありました。

いざ、やってみると……粗が目立ちます。当たり前にしている基本動作。“できているつもり”で流している部分があってはいけません。

楽器の演奏も似たところがあります。テンポが速ければごまかしがききますが、スローテンポにした途端、音程や拍の取り方など基礎練習で雑にしていた部分が露呈します。何事も、ゆっくりした動作は負荷のかかること。それを“負荷”と感じないように、日頃の反復を飽きるほど丁寧に行う必要があるのではないでしょうか。

灘高校に勤務し「銀の匙」の授業で有名な橋本武先生は、ご自身の著書で「国語を学ぶとはどういうことか」について記しています。その中の一説。

『正しい努力は、目の前に即効性がなくても決して無駄にはならないのです。』

国語の勉強に即効的効果を期待することは難しい、なぜなら国語は生まれた時から始まる日常的な学科だからと述べ、「子どもたちに本当の基礎力をつけたい」思いで長らく教鞭を取られた方ですが、この“基礎力”が柔道においても必要です。

打込み、寝技、投込み……反復練習に、乱取稽古のような華やかさはありません。自重トレーニングやジャンプ、走り込みの動きを直接試合で使うことはありません。けれど、一見、どこにつながるか分からないものを淡々とこなすことが実になり、大切な試合のワンチャンスで生きるのだと思います。

橋本先生は、こうも仰っています。

「水準以上のことをやっているから、心にゆとりが持てる。」

可能性があることは、すべてやるのです。

練習後の1コマ。1年の柴田が先輩の篠宮に反復を見てもらっていました。近くでは手塚も声をかけサポートしていました。