【柔道部】大切なもの
「勝ち負け以上に、自分らしくやりたいことができたか」
「強いだけではなく、人としての中身が育っているか」
毎日の稽古で、部員たちは監督からこのような言葉をかけられています。
一方、大会の場では教員同士もコミュニケーションを図ります。過日の大会で他校の先生のお話を伺っていた時のこと。耳に残ったのは、鯉渕先生も仰っていると思うけど、と前置きをしつつある先生が仰った「柔道を離れてからの人生のほうが長いんだから」の一言です。
柔道に限らず、社会に出て部活動の戦績を語っても、多くの場合“そうなんだ”で終わってしまう。活動から離れた瞬間、価値が変わってしまうものに時間を費やす意義は、勝敗とは別のものではないでしょうか。
国語の教科書に著書が掲載されることが多い内田樹さん。武道家でもある氏の文章が「負け方を習得する」という教材で使用されました。その結びの段落。
死ぬまで全ての勝負に勝ち続けることは誰にもできない。私たちはいつか必ず敗北の日を迎える。その時に、誰からのリスペクトも期待できず、何の教訓も学べず、ただひたすらに不快な後味だけを残すような「無意味な敗北」を引き受けるということでよいのだろうか。
勝つ以上に多くの利益をもたらす負け方が時にはある。そのことを習得することが我々にとって喫緊のことだと私は思う。
挨拶ができる、他者を敬える、思いやりを持てる、率先して動ける…人間力は経験の中でこそ身につくものだと思います。監督から「道場の外で、どう見られるかが大切」 と諭されている宮工柔道部の子どもたちは、長い人生の財産になるものを得ていると感じます。