【柔道部】99は0に等しい
仕方がないとはいえ、改修工事中は様々な不便を強いられます。
トレーニングもそのひとつ。教室に移動させた器具の利用はできますが、なにぶん場所が狭いため使い勝手に苦心します。そんな中、柔道部の部員たちがこぞって挑戦するのはベンチプレス。MAX測定から離れていることもあってかお互いの数字に敏感になり、ちょっとした競争心も見え隠れしています。数字が上がっていくのは、できることが増えた証。子どもたちには、やはり嬉しいことのようです。
毎年、寒くなるこの時期が本格的に体を鍛える期間の始まり。階段ダッシュや道着懸垂、重りを持ってのスクワットなど体に負荷のかかるメニューが加わった時、如実に現れるのが精神的な強さです。たとえば“道着懸垂10回→10秒ぶら下がり”という時、懸垂の仕方はもちろんのこと、カウント10で地面に足をつける子と10まで我慢し切る子では稽古の時のしぶとさも違います。欲しい結果に近づけるのはどちらか、言うまでもありません。“今、しんどいな”“ちょっと間を空けたいな”と思った時に休まず続ける意識を持てるよう、活動の様々な場面で声掛けしています。
オリンピック熱も落ち着き、選手たちをテレビで観る機会も増えました。そんな中、ニュースで紹介されていたのは阿部詩選手。練習前に必ず読むと話していたのが、この詩です。
もう一息という処でくたばっては
何事もものにならない
もう一息
それにうちかってもう一息
それにも打ち克って
もう一息
もう一息
もうだめだ
それをもう一息
勝利は大変だ
だがもう一息
(武者小路実篤「もう一息」)
99までやっても最後の1をやらなかったら、99まで全力でやっても最後の1で手を抜いたら、それは何もやっていないのと同じ。
「いいよ」の言葉に甘えられる昨今、ややもすると自分に対して安易に手加減をしがちです。けれど、早々に限界を決め、できない理由を正当化してできたかもしれないことに到達する機会を逃すのは非常にもったいないことではないでしょうか。
稽古にもトレーニングにも真摯に向き合い「あとひとつ」「もう一回」を厭わない人間性を育てて欲しいと思います。