【柔道部】共鳴
「負けたことがあるというのがいつか大きな財産になる」
オリンピック選手がインタビューで引用したアニメのセリフが話題になりました。
これは、言わずと知れたバスケットボール漫画『スラムダンク』で、常勝軍団と言われたチームが負けた時、監督が選手たちにかけた言葉。フィクションであっても琴線に触れ胸を熱くさせる名言は、確かにそうだよな、と思わせてくれるものがたくさんあります。
ところで、『スラムダンク』と言えば「あきらめたらそこで試合終了ですよ」が有名ですが……
全国大会(インターハイ)出場をかけた一戦で立ち上がれないほどに負傷した3年生のキャプテン。試合に出るなど無茶だと諌めるマネージャーに叫んだのが、
「足が折れてもいい、動けなくなってもいい、やっとつかんだチャンスなんだ…!」
全国への切符を掴みたい信念と覚悟が見える場面。本気が伝わる一言です。きちんと行間を読めれば文字通りの意味でないことは理解できますね。
たどり着いたインターハイ。高校バスケット界の王者に挑む2回戦、萎縮して視野が狭くなり動きの固いチームメイトたちに、一人の選手が檄を飛ばします。
「ながれは自分たちでもってくるもんだろぅがよぉ!」
初めての場所や会場の空気感に飲まれてはいけない、常に落ち着いて自分の柔道をする。大会前に必ず言われることと重なります。自分の中の不安に勝たなければ相手には勝てません。
「倒れたらそこで許してもらえるとでも思ってんのか?!」「ゆっくりでもいい‼︎自分の力でやり遂げろ!!」
練習についていけず、指導に心が折れかける選手に向けた監督の一言。自分は足手まといだと悔し涙を流す選手に、お前が3年になった時、初の全国大会出場を夢見ていると語る監督の優しさも見える場面です。
厳しくするのは、忍耐が伴う辛いこと。笑って楽しく、だけで済むならこれほど楽なことはありません。けれど、自信がないからこそ、自分の力で最後までやった経験を積み重ねる。悔しい思いをしたら這い上がる。指導者の思いは、人間の中身を育てることにあるのだと感じます。
進路活動に向けた面接練習で、座右の銘やモットーを尋ねられることがあります。自身の経験がこうした言葉とシンクロした時、自分に向けられた言葉の真意に気づけるのかもしれません。