【柔道部】復元作業
年度末は午前授業が続きます。
部員たちは、稽古やトレーニングの後の時間を使って賞状を飾る作業を行っています。
《途中経過。三段目はこれからです!》
白く塗られた壁に色褪せた数々の賞状がまぶしく映えます。こうして眺めると、積み上げることの大切さを感じずにはいられません。どんな時も淡々と、日々、同じことを同じように続けるのは根気のいるとても大変なことです。高校生活に皆勤賞があるのはそのためです。部活動でも勉強でも、しっかりと足元を固めた上の地道な取り組みが大きな花になり、思ったほどの花でなくてもそれを慈しむことができるのではないでしょうか。
高校の統廃合や再編は全国で起きています。先日、このような記事を目にしました。
本校でも制服や教育課程といった新校の中身の準備が本格化し、突然の渦に巻き込まれるように変化が強調されています。その流れの中で、これまで関わってきた人たちに、その人たちがまるで居なかったかのように感じさせてはいけません。
昔があるから今がある。
古いものがあるから新たな可能性も見いだせる。
世の中が便利になったのは不便を感じる時代があったからです。むろん、最近ではその便利さも“本当にそれでいいのか?”と立ち止まって考えなおす動きがあります。諸外国の、紙の教科書への原点回帰や子どものSNS利用規制などはその例です。「新しいものは良いもの」とし続けた弊害によって起こった、これもまた一つの変化といえるでしょう。
目まぐるしく変わる現代社会において、新しい挑戦の土台には必ず過去があることを実感し立ち止まって考えられるのは、長く続く集団が持つ特権です。
かつての慶應義塾大学塾長・小泉信三の著書には次の言葉があります。
『直ぐ役に立つ本は直ぐ役に立たなく本であるといえる』
『併しこの、直ぐには役に立たない本によって、今日まで人間の精神は養われ、人類の文化は進められて来たのである』
歴史を語れる学校だからこそ、そしてその中の柔道部だからこそ、「大宮工業高校」の名前に憧れや誇りをもっているたくさんの卒業生たちが母校のより良い変化を願えるよう『温故知新』の精神を大切にしていかなければなりません。