2022年3月の記事一覧
【柔道部】大切なもの
令和3年度がもうすぐ終わります。
今年度は主要な大会が一通り行われ、1年生は4月から高校生の大会を経験し、2年生は中心選手としてチームを牽引する難しさを実感し、3年生は高校生選手としての締めくくりをすることができました。
部活動も教育の一環です。今年度も部員たちは、いろいろなことを学びました。
たとえば怪我。
無理を押して出場した試合で思い通りの動きができなかったり、練習に参加出来ずサポートに甘んじたり……。最後は気持ち、ということを部員たちは実感しているのではないでしょうか。
ワンチャンスを手繰り寄せる難しさ。
頂点を目指し決意をもって臨んだ試合で目標を達成できなかった悔しさは飲み込むしかありません。「監督をインターハイに、全国に連れていく」思いを口にする部員が必ずいることがチームのモチベーションにもなっている気がします。
相田みつをさんの「受け身」という詩を読んだことのある人は多いと思います。
柔道の基本は受身
受身とは投げ飛ばされる練習 人の前で叩きつけられる練習
人の前でころぶ練習 人の前で負ける練習です。
つまり、人の前で失敗をしたり、恥をさらす練習です。
自分のカッコの悪さを
多くの人の前で、ぶざまにさらけ出す練習
それが受身です。
柔道の基本では
カッコよく勝つことを教えない
素直にころぶことを教える いさぎよく負けることを教える
長い人生には
カッコよく勝つことよりも
ぶざまに負けたり
だらしなく恥をさらすことのほうが はるかに多いからです。
だから柔道では 初めに負け方を教える
しかも、本腰を入れて 負けることを教える
その代わり
ころんでもすぐ起き上がる 負けてもすぐ立ち直る
それが受身の極意
極意が身につけば達人だ
若者よ 失敗を気にするな
負けるときにはさらりと負けるがいい
口惜しいときには「こんちくしょう!!」
と、正直に叫ぶがいい 弁解なんか一切するな
泣きたいときには 思いきり泣くがいい
やせ我慢などすることはない
そのかわり
スカッーと泣いて ケロリと止めるんだ
早くから勝つことを覚えるな
負けることをうんと学べ 恥をさらすことにうまくなれ
そして下積みや下働きの 苦しみをたっぷり体験することだ
体験したものは身につく
身についたもの~ それはほんものだ
若者よ
頭と体のやわらかいうちに 受身をうんと習っておけ
受身さえ身につけておけば
何回失敗しても
すぐに立ち直ることができるから……
そして
負け方や受身の ほんとうに身についた人間が
世の中の悲しみや苦しみに耐えて
ひと(他人)の胸の痛みを 心の底から理解できる
やさしく温かい人間になれるんです
そういう悲しみに耐えた 温かいこころの人間のことを
観音さま、仏さま、と呼ぶんです。
「一生感動一生青春(文化出版局)」
「強い」人は素直なだけでなく、自分にも他人にも優しい。
1位が要らないとは言いません。1位になることはこれ以上ない栄光ですが、それを目指す過程で学ぶものの方が長い人生においてはるかに貯金になるのも事実です。部員たちが何を学ぶのか、新年度のチームが楽しみです。
【柔道部】終わりは始まり
終業式です。
選手権に出場した須川はGSまで持ち込み善戦したものの、初戦敗退という結果でした。とはいえ、大舞台を経験した選手がチームにいるというのは高い目標を見る大きなきっかけになります。一人一人モチベーションを上げ、4月からの新たな試合に臨んで欲しいと思います。
春休み直前の週末、3年生が最後の練習に参加してくれました。見慣れた練習風景からいよいよ部員たちが旅立ちます。
一方、道場を訪れるのは入学許可候補者となった新入生。入部を決めている子、見学を希望する子、目的はさまざま。旧知の仲の部員を慕いやってくる子は安心して稽古に溶け込めるようです。
晴れて宮工生となった後の活躍が楽しみです。
【柔道部】つなぐ誇り
本日も先輩が指導に来てくれました。
岡安智弘先輩。
在学当時を知っている先生方も柔道部の面々も、一目置く、という表現では足りないくらいに誰もが褒めちぎる先輩です。選手権大会に出掛けている鯉渕監督の代理として、2日間、後輩たちに丁寧な指導をしてくれ、間を回って細かく声をかけていました。部員たちが吸い込まれるように指導を聞いているのは実績と人柄に惹きつけられるからでしょう。
OB、教育実習生、教員。自分の立ち位置に合わせて身の置き方を変えることができるのも、彼の意識の高さ、人格が優れている部分だと思います。そうした振る舞いを見習うべき手本として後輩たちに定着させてあげられないのは、当時の感覚のまま教え子や後輩を呼び捨てにする風潮がある年上の人たち。
宮工柔道部は一生のつながりだそうですが、時間が流れ立場が変われば、それに合わせた距離感で関わるのも柔道が大切にするひとつの『礼』であり、一般社会のマナーです。いつまでも“宮工柔道部”のくくりで見るのではなく、彼がこれから関わるたくさんの生徒たちの前では一人の教員として接してほしいと思います。
後輩の出番を待つ間、先輩たちは自分たちのチームを振り返っていました。大会の記憶もさることながら、投げられたら悔しくて必死にぶつかっていったこと、練習中はとにかく声を出していたこと、欠点補習で練習に穴をあけチームに迷惑をかけたこと……気迫や緊張感が伝わる思い出を、笑い話も交えながら聞かせてくれました。
柔道にかけるきもちの強さと、結果を目指す過程で育つチームの一人としての意識こそが、宮工柔道部の所以だと思います。先輩方から学びとってほしいです。
【柔道部】気もちをつくって
本日の練習も、前半は須川の調整から。
ここまで練習相手になってきた中善寺と長瀬が今日も受けに徹し、組手の確認、息上げ、投込と、須川の動きを見守りました。
高校生の時、同じく全国を経験した先輩も来てくれました。
明日は宮工の道場から、みんなで声援を送ります。
【柔道部】感謝
欠員補充の試験実施のため、本日は午前授業。1、 2学年は各教室で人権教育を受けています。
そんな中、柔道部は練習をさせていただいています。学校生活あっての部活動、優先順位が逆になるのは褒められたことではありませんが、監督からの相談を受けた校長先生が大会直前であることと充分に練習できていない状況を鑑み、先生方の理解を得た上で特例として許可してくださいました。
来校するOBには、多大な勘違いをしたまま現在に至っているように見える振る舞いが目につくことがあります。おそらく、在籍当時のこうした対応を“柔道部だから当然”と勘違いさせてしまう雰囲気がチーム内にあったのだろうと思います。
今いる子どもたちには、柔道部だから、と、 部活を傘に着るような考えは持ってほしくありません。今回、学校に決断していただいたことは、 全国大会の重さに共感してくださり十分に力を発揮して欲しいという期待の表れ。周りの方々のそうした想いに応え、感謝して、謙虚に素直に学校生活を送らなければなりません。
今月に入ってからの練習は、須川の調整を第一に考えてのもの。チームのみんなが須川のために協力しています。須川にはみんなの思いを感じつつ、伸び伸びと大会に臨んで欲しいと思います。
《本日の練習。キャプテンの中善寺が声をかけています。》
【柔道部】厳戒態勢
全国選手権大会が間近に迫っています。
感染症を懸念し、できるだけ集団の接触を避けようと、柔道部は週末の練習から二手に分かれています。須川とその練習相手2名は組手や乱取りの時間を長く取り、その間、他の部員たちはウエイトや体幹などのトレーニングを行います。
今日の午後はとても気持ちの良い気候でした。坂道ダッシュも気分がのります。
4月になると大会の日々が続きます。結果を出すための準備をする最後の1カ月です。
【柔道部】主人公
昨日、道場で集合写真を撮ろうという時の一幕。
前列に並んだ3年生は真ん中を一人分空けました。鯉渕監督に座ってもらうためです。促された監督は「主役は生徒だから」と一言。卒業アルバムの部活動写真と同様、後列に位置しました。
クラスの場合はまとめるのが担任ですから、中心は担任になるのですね。部活動は、声をかけたかけられたは関係なくそれがやりたいと思った子どもたちの集まりなので、主役は指導者ではなく部員。実に当たり前のことですが、普段の教員同士の会話にも“どこの学校は誰に変わったから強くなった(弱くなった)”という話があがるように、その基本から外れてしまう指導者は意外に多いのではないかと感じます。
大舞台に立って結果が出た時は子どもの努力が身になった時。やってきたことが間違いじゃなかったと自信を持つのは、そこにたどり着いた本人です。華やかな結果であるほど指導者としての自信になると思いますが手柄にしてはいけない気がします。他者が手腕を評価することはあってもそれに驕ってはいけません。子ども自身が誰に指導していただいたか、誰に支えてもらったか、ということをきちんと振り返り感謝の気持ちを表せるのが大切です。
うまくいかなかった時は指導者の側にも後悔が残ります。情報収集や読み違い、不甲斐なさに対するいら立ちもゼロではないと思います。そうだとしても、実際に試合をしたのは選手本人。指導していただいた内容以外に自分で考えてできることはなかったか、課題に気づけていたか。足りなかったところを見返すことは上を目指すために必要です。後悔の原因を自分で引き受ける覚悟ももっていなければなりません。普段の練習で、言われてやるんじゃダメ、言われたことしかできないのはダメと繰り返し指導されるのも、部活動と言う集団が子どもたちのためにあるからではないでしょうか。
今回、節目の写真を撮る時に3年生が監督に真ん中に座って欲しいと動いたのは感謝の表れに感じます。一方で、誰に感謝するか・誰を師と思うかは結果を出した本人が決めることのはずですが、関わりがあっただけでそれを強制するような発言をする方がいるのは歴史があるが故の柵(しがらみ)で世間とのズレ。変えるべき部分だと思います。
手応えを感じた時に『勝って兜の緒を締めよ』とできるかどうか。
心に留めておかなければいけないのは、子どもたちより大人たちの側かもしれません。
【柔道部】ご褒美のような晴れ空の下
本日は卒業式。
柔道部の3年生も卒業証書を受け取り、大切な節目を迎えました。
それぞれのクラスで最後のLHRが終わった後、柔道部の3年生は道場に集まり、保護者の方々が見守る前で、ひとりひとりが卒業後の進路を報告し感謝の思いを伝えました。
監督から最後のお話。
修学旅行がなくなり通常登校の時間が奪われた学校生活。何度となく制限がかかった部活動も「もっとやりたかった」思いが強く残っているのか数人の口から「悔いが残った」という声がありました。監督は、大宮工業で3年間過ごしたことに価値があると伝えていました。
道場で保護者の方々も一緒に集合写真を撮った後、看板の前で再び。
高校生活の最後。大切な1日の穏やかな晴天は最高のご褒美です。
この後、しばらく監督との写真撮影大会が続きました。
最後はちょっとやんちゃに。
卒業おめでとう。胸を張って、次のステージに進んでください。
【柔道部】門出を前に
本日は卒業式の予行がありました。久しぶりに登校した3学年。クラスでおおまかな流れの説明を受けた後で体育館に集合し、全体で礼や入退場を練習しました。
予行の場で資格等の表彰が行われました。
椙田はジュニアマイスター顕彰(ブロンズ)表彰者のひとりです。今学期発行のPTAだよりには、目的を持って過ごした3年間の学校生活を素直な言葉で作文に表してくれました。
放課後は、卒業式当日に登壇する生徒たちの所作指導が行われました。
登壇する和久井と笹目。制服姿も堂々としています。
どのような心境で節目の日を迎えるのでしょうか。各々きもちを整えて、明日を迎えて欲しいと思います。
【柔道部】今年もまた……
3年生が進路を決めるまでの過程はさまざま。すんなりひとつに的を絞れる子もいれば、じっくり悩む子も途中で方向転換する子もいます。
宮工で柔道をしていたことは大きな貯金ではあるけれど、進路活動において、そのことが合格や内定の一番の理由になることはありません。部活動に所属していたという事実は多くの高校生がもっているからです。
進路活動で最後にものをいうのは、ひとりの高校生としての知識やハキハキとした受け答え、元気な挨拶、書類に表れる3年間の主体性、目的意識、継続力。そうしたひとつひとつのことが整っている子でも、希望先にご縁がなければ“サクラサク”とはなりません。9月に試験が解禁された就職希望者、10月以降に受験が始まった進学希望者や公務員志願者。一回目で嬉しい通知をもらえる子がいる中、誠実に準備をしてきてもうまくいかず不安と戦いながら何度も挑戦するのは逃げてはいけないと分かっているからですが、内心、孤独だったろうと思います。
本日、練習に参加してくれた3年生が「やっと決まりました、安心しました」と、希望の進路に決定したことを報告してくれました。そういえば昨年度も、家庭研修期間に入ってからも粘り強く努力し自分の力で次の居場所を得た部員がいました。柔道をとおして耐えるこころが鍛えられた証拠です。
これから先、「柔道をしていた」ことがずっと使える武器になることはありません。
けれど、「柔道をして育った人間力」は自分の味方を得る大きな財産になります。
合格おめでとう!