日誌

2022年6月の記事一覧

【柔道部】分かる楽しさ

「先生、そういう時は、その掛け声じゃないんだよ」

「今はこうしておいた方がいいよ」

3年生たちは気づいたことを教えてくれます。

 

今日は、組手の攻防がどのようにされているかを教えてくれました。

「たとえば自分がこうやって持ったら」

「俺は嫌がって、こんな風にするから」

「それをさせないために……」

「そうしたら俺がこうして…」

「で、今度は自分が…」

持ち方、切り方、距離の取り方。須川と水島がリズミカルに実践して見せてくれました。いくつも枝分かれしている攻防を読み、緊迫している状況でも冷静に判断して試合を展開し結果を出してきたんだと分かり、改めて彼らを頼もしく感じました。

どうして膠着状態になるのか。

どうして腰を引いてしまうのか。

些細な事ですが、理由を理解すると普段の練習もより楽しく見ることができます。分かると楽しい、できるようになると楽しい、のは、子どもも大人も同じではないでしょうか。

 

そんな彼らの練習環境が、最近、気がかりです。

体の大きい部員たちが十数年激しい練習を繰り返して来た結果、畳の破れがポツポツ。その都度、養生テープで丁寧に補修をしていますが、ヒヤッとすることもしばしば。施設を整えるべく、ただ今予算を申請中です。

より良い環境を整えていきたいです。

【柔道部】人として

大会を終えた夕方、3年生の一人からは「3年間で一番気持ちよかった大会です!」という言葉が聞かれました。全て出し切った人にしか感じられない感覚です。

 

今回に限ったことではありませんが、大会後の職員室では、どうだった?と、複数の先生方が結果を尋ねてくださいます。時には担任の先生が試合の動画を観てくださることも。

同じ質問は卒業した先輩からも届きます。結果を知った先輩たちは「自分が3年の時の1年て思えないくらいみんな成長してる!」「ここまで成長させるなんて、やっぱり鯉渕先生はすごい!」と感動の嵐。

気にしてもらえるのは期待の表れ。とてもありがたいことです。

 

いわずもがな、大宮工業高校の中で柔道部は目立つ存在です。部活動としての歴史があること、実績を積んできたことがその理由です。ただし、その時間の中には『強ければいい』という勘違いを生んだ期間もあるようです。たとえば、柔道場から外の水道に出る扉には「ここから出入りしない」という貼り紙が今も残っていますが、こうしたこと一つ取っても、どこか強さを笠に着て驕る雰囲気があったのだと残念に思います。

 

鯉渕監督は「柔道以外の場面でどう評価されるかが大切」と、繰り返し部員たちに諭しています。柔道の世界での評価が自分自身の価値ではなありません。社会人として、教員として、生徒として、身を置いた場に合ったものの考え方や振る舞いができる方が、よっぽど自分にとってプラスになります。

応援してくれる方の想いを裏切ることのないよう、“人としてどうあるべきか”を意識して生活しなければいけません。

【柔道部】勢いを託す

6月20日(月)、21日(火)の2日間、学校総合体育大会兼全国高等学校柔道大会県予選会が行われました。

 

 

初日は会場準備から始まります。

ケアシステムの準備についていた長瀬は「俺、今回は見てるだけだよ」と、1,2年に作業を任せます。1年前、同じセリフを先輩の椙田が言っていたことを思い出して「もう、1年かあ……」と感慨深げ。

会場の椅子に腰を落ち着け出番を待っていた水島も「なんか、あっという間ですね」としみじみ。キツイ練習はもう嫌ですけど、と言いながら今日までを振り返っていました。

 

初戦を前に、監督は「足元をすくわれない。雑なことはしない。自分たちは強いという自覚を持って確実に。」と選手たちを激励しました。キャプテン・中善寺の技が嵌ります。

2日目の緊張感は独特のものがありました。試合を待つ3年生の須川と中善寺。この景色を見ながら何を想っていたのでしょうか。

この日の課題は「前3つで取ってくる」「指導をもらわない」「気もちの見えない試合をしない」の3つ。ベスト8に上がると、それまでは黙って見守っていた鯉渕監督も、つまらない試合をするな、ペースを上げろとチームを鼓舞します。

準決勝を勝ち上がった時には「今までで一番良い勝ち方だった」と選手たちを褒めました。

たどり着いた決勝戦。

普通にやっても何も起こらない、自分が何をしたいか考えてぶつかってこいと送り出されて畳に上がりました。須川の粘りが光りました。

 

新チームになって初めての大会で納得いかない結果を残してから今日まで尻上がりに調子を上げてきた、最後の試合も競ることができた、仕掛けることができた、下を向くような試合は一つもない、という監督の言葉に選手たちは何を感じたでしょうか。サポートに回った部員の中には「俺、あそこまでできないです、自信ありません」という子もいました。それくらい、気迫ある内容でした。

現在の3年生は、コロナ禍の影響を嫌というほど受けています。

4月の入学式が延期され、連休明けに設定された学校活動の開始も6月にずれ込みました。学年団だけの入学式を体育館で行い、やっと始まった高校生活は分散登校から。通常登校になったのは2年前の6月22日のことです。

部活動を行えたのはピッタリ2年間。その間も時差登校や分散登校が何度も繰り返され、部活動も活動時間や内容の細かい制限がありました。何も気にせず“やりたいことに思いっきり熱中する”ことが許されない状況で、見ている大人の側がしんどくなることも一度や二度ではありませんでした。不安定な環境で刺激をもらう機会が少なく、自分を試す時間を狭められた中でここまで踏ん張った子どもたちは本当に偉いと思います。

また、最後の大会、たった3回のチャンスでしたが、出場選手の家族に限り1名という条件ながら保護者の方が子どもたちの姿を直接観られたこと、子どもたちが「やる」と決めた事に集中している様子を見せられたことを嬉しく思います。観戦いただいた保護者の皆様、ありがとうございました。

そして、3年生のみんな、おつかれさまでした。

大会の度に減量で苦労した深井大里。

怪我からの復帰まで辛抱の期間を耐えた長瀬晃生。

華やかな結果に伴うプレッシャーと向き合った須川朝陽。

チームを勢いづける重みを感じ続けたキャプテンの中善寺響。

期待の重量級として1年生の頃からもまれてきた水島由郎。

みんなの“こころ”は、誰よりも強くなっているはずです。

それぞれの気持ちを、後輩たちにつなげてください。

 

≪試合結果≫

秩父農工科学 0-5

花咲徳栄   0-5

川口市立   0-3

武南     0-4

埼玉栄    4-0

【柔道部】盟友・その2

談笑する二人の先輩。

岡安先輩と杢先輩。全国選手権や高校総体にも出場した、一目置かれる二人です。先に到着していた岡安先輩は「優蔵が来るんですか?嬉しいです!」ウォーミングアップのタイミングで現れた杢先輩は「岡安、来てるんですね!嬉しいです!」

この二人もまた、盟友です。

鯉渕監督とも、話が弾みます。

5分3本の乱取。最後の一本は二人で組み合いました。常に真剣な表情の岡安先輩と時折頬を緩める杢先輩。二人でする久しぶりの乱取りを、それぞれ楽しんでいたようです。

 先輩方の背中に続く選手が出てきて欲しいです。

【柔道部】先輩の姿

喜多幡先輩の教育実習期間も、今日で最後です。

教育実習生の大きな課題が研究授業です。指導教官の鯉渕先生にアドバイスをいただきながら授業の展開を練り、授業に使う資料をそろえて、いざ、本番!

今日は高校時代の道着で練習の相手をしてくれました。実習期間中、3年生の中には進路相談にのってもらった部員もいます。1,2年生がトレーニングをしている時には、鯉渕監督のいう『量より質』を実践するために、回数を減らしても正しく負荷をかけて意味のあるトレーニングをするよう姿勢や方法を丁寧に見てくれました。

 

鯉渕監督は「母校に戻れることは誇らしいこと」と言葉を送っていました。

3週間、ありがとうございました!

【柔道部】節目

大会前日の調整練習を終えた後、監督からの一言は「油断しない、力まない」。知っている相手でも初めての気持ちで臨もうと送り出された部員たち。それぞれの思いで今日の試合を迎えました。

 

区切りを迎える3年生の試合を振り返ります。審判の役割がある中、可能な限り試合についてくれた鯉渕監督は「出し切ってこい」とひとりひとりに声をかけました。

深井大里(60㎏級) 

2年生の時には関東ジュニアにも出場しました。最軽量級の深井が団体戦に出場する機会はほぼありません。その分、個人戦に懸ける思いは人一倍だったと思います。センスのあるところをたくさん見せてくれました。

長瀬晃生(66㎏級)

怪我をしてから今日まで、悔しいことや納得できないことを一番受け入れてきたのが長瀬です。昨年度のうちに復帰できていれば……、という思いは近くで観てきた側にも強く残っています。試合の後、監督に「ありがとうございました」と言った姿が凛々しく映りました。

中善寺響(73㎏級)

昨年度の大会は満身創痍。団体戦を戦いきれず悔し涙を流しました。最後の大会、頂点に立つために避けられない相手との対戦を前に、ひとり気を落ち着けている様子がありました。攻めきれなかった不甲斐なさは隠せず、短い時間に現実を受け入れるのはつらかったと思います。

水島由郎(100㎏超級)

入部した頃は低鉄棒での懸垂も精いっぱいだったのが印象に残っています。一歩ずつ自力をつけ、ここまできました。敗退して図らずも泣いてしまったのは、必死にガムシャラにやってきた思いが強かったからではないでしょうか。

須川朝陽(66㎏級)

本番に強い須川、3年間で大きく成長しました。準決勝までの試合時間は、それぞれ2分足らず。「こんなに嵌ることってあるんだ」と本人が驚くほど。きっちり決めて気持ちを上げてきただけに、あと一つ、がスルリと抜けた瞬間は悔しさを抑えきれませんでした。

 

 

「いい試合だったよ」と声をかけられた3年生。

選手権大会は半年後だと鼓舞された、新チームの主軸になる2年生。

力の差を痛感した1年生。

1週間後の団体戦、選手の勇姿やチーム宮工のアツいつながりを、どのような形で観ることができるでしょうか。

【柔道部】盟友

須川朝陽と長瀬晃生は、66kg級に出場する3年生です。

2年生の春の地区大会ではともに入賞を果たし、鯉渕監督に「66がアツい!」と言わしめたほど。入部当初から、トレーニングも稽古もペアを組み、二人で上を見て高め合ってきました。

2人が支える新チームを描いていた矢先、長瀬の怪我でそれぞれが身を置く状況は変わりました。優先することが別々になる中、須川は気持ちがブレることなく全国の舞台にも立ち、 長瀬は同じように耐える時間が長かった先輩に励まされて復帰しました。

明日の大会、2人は反対の山にいます。 頂点の椅子はひとつ。それぞれがどんな集大成を迎えるのか、見守りたいと思います。

【柔道部】武者修行の日々

関東大会の報告から。

初戦は烏山高等学校(栃木)に5-0で快勝したものの作新学院(栃木)に0-2で敗れ、3回戦敗退となりました。決して勝てない内容ではありませんでしたが、結果として、団体戦で重要な「取るところで取ってくる」ができませんでした。

 

大会から戻ってきた選手たちは、いろいろな話を聞かせてくれました。試合の裏話からホテルの食事まで話題は盛沢山。濃い時間を過ごせたようですが、怪我無く終えられたことがいちばんの収穫です。

 

5日、二手に分かれていた部員たちは合流し、全員で安田学園にお邪魔しました。 

相手校のリードで早打ちをしているのを見ていた部員が「先生、宮工と違うの分かりますか?」と、興味深いことを教えてくれました。形を意識している相手とスピードを意識している宮工。腕の力、足の位置、回数を注意深く見ていると確かに違います。鯉渕監督はどちらも重視してるんですよ、とさらに一言。思わぬヒントや小さな気づきがあるのが出稽古の面白さです。

出稽古のメインは、1,2年生を主にした試合。貴重な機会を生かそうと胸を借ります。試したことがうまく嵌る子もいれば、課題の克服に時間をかける必要のある子も。

乱取りでは声をかける方にも気合が入ります。ひとりひとりが、巧く、強くなるために全員が一生懸命です。

【柔道部】大舞台へ

4日(土)・5日(日)、千葉県成田市にて第70回関東高等学校柔道大会が行われます。

男子の試合は4日(土)です。出発前に本日は朝から調整練習。軽めの乱取りや組手の確認を行いました。

出発前、校長室へ挨拶に伺いました。剣道を経験されている校長先生は「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という言葉で激励してくださいました。部員たちは、栃の実のお話を興味深く聞いていました。

 

今日と明日はチームが二つに分かれての活動、さらに学校での練習は監督が不在。留守の間の練習メニューを任されたのは、今週から教育実習に来ている、喜多幡偉吹先生です。

今日の午後は、下半身と上半身のトレーニングを丁寧に教えてくださいました。

今日のテーマは、筋肉を大きくするための効果的なトレーニング。

キツイと感じるものを闇雲にこなすのではなく理論的に理解して取り組む方が効率が良いよと前置きをして、「なぜこの負荷で」「何のためにこの回数で」をじっくり後輩たちに説明してくださいました。

自分は実習の期間にいろいろな手段を伝えたい、みんなは自分に合う・必要と思ったものをピックアップして取り入れて欲しいと呼びかけてくださった先輩に、部員たちは栄養摂取についても質問していました。

 

知識が増えるのは面白みのひとつです。

3週間、部員達にはいろいろなことを吸収してほしいです。

【柔道部】強くなりたい!

この時期の練習は、レギュラーメンバーとそれ以外で、本立ちや息上げに出る指示が分かれます。優先すべきはもちろん試合を控えたレギュラーですが、彼らもまた受けに回って部員を鼓舞し、気を吐きます。

そんなレギュラー陣と組み合うも、したいことが嵌らず悔しい表情を見せる1年生がいました。

高橋駿斗です。

春季地区大会でベスト8以内に入り再来週のインターハイ予選にも出場する期待の持てる選手ですが、高校生の試合を経験したことでこれまで通りでは勝てないことを実感し、考えることが増えたようです。

今日は、何度も何度も鯉渕監督のところへ指導を仰ぎに行き、乱取りが終わる度に研究を重ねていました。

もともと、勢いよく伸び伸びと組み合う選手です。悩みの期間を越えた駿斗の「ヤーッ!」という声が連続して響くのが楽しみです。