2023年8月の記事一覧
【柔道部】啐啄同時
24日から27日までの4日間は、関東圏内のチームが主に集まる錬成会に参加しました。
技術や力が勝る相手に、試したことが嵌ればこれ以上ない自信になります。一方で負かされる体験は苦いもの。けれどそれが、負けないようにどうすればいいかを考えるきっかけ、つまり強くなるきっかけにもなるのです。なぜできなかったか、成功させるために何が足りないか、自分で振り返らなければ、体験はその場限りになってしまいます。学校のテストには100点のゴールがありますが、武道にはそれがない。ということは、体験を活かすために考え続けなければゴールを設定することもできないということ。これが芸事や武道の奥深さです。
『啐啄同時』は禅宗の言葉で、卵から出ようとする雛鳥が内側から殻をつつくのと母鳥が外から殻をつついて手助けをするのが同時であることから「学ぼうとする者と導く者の息が合って通じる好機」という意味で用いられます。子どもたちの、強くなりたいと感じるタイミング。子どもたちに、挑戦したいと思わせるようなきっかけや刺激を与えるタイミング。小さなワンチャンスを逃さないよう、夏の稽古はいつも以上に緊張が続きます。
『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。』という山本五十六の有名な言葉がありますが、これもやはり、時機を読むのは難しい。早ければ自信をなくさせたり自分に手加減させることになったりしますし、遅ければ響きません。
絶好の機会は人によって違います。そう言う面では、指導する側も稽古をする側も葛藤の夏休み。
ただひとつ、言えることは…
最後に殻をつついて外に出るのは自分自身です。
【柔道部】もうひとつの栄光
昨日、遠征から戻った夕方、宮工柔道部には大切な予定がありました。国体候補選手の粕谷の試合です。受けを務める高橋は鯉渕監督と共に会場へ移動。候補選手3名の総当たりによる試合の結果、粕谷が選ばれました!
現在、甲子園では高校生の熱戦が繰り広げられていますが、粕谷を見ていると数年前の試合が重なります。
2007年、佐賀北高校と広陵高校の決勝戦。
広陵高校の先発・野村祐輔選手(現広島東洋カープ)は、7回までに許したヒットはわずか1本。試合は広陵高校のペースでした。ところが、4-0、広陵高校のリードで迎えた8回裏、佐賀北高校が2本目のヒットで出塁するとスタンドの空気が一変します。ヒットと四球で満塁。押し出しで1点を返し満塁ホームランで逆転。“がばい旋風”を巻き起こした佐賀北高校が優勝を決めました。
この試合の裏には、当時、論争になった私立高校の特待生問題とそれを受けての世論なのか終盤にチャンスをつかんだ公立高校への観客の声援、押し出しのきっかけとなった球審の誤審騒動など、今も語られるいくつかの話題があります。
決勝戦の後、野村選手はチームメイトと「準優勝で良かったという人生を送れるように、これから頑張っていこう」と話し合ったそう。その後のインタビューで、疑惑の判定となった一球に対し、あのときはあの球しかなかったと答え「悔しいですよ、むちゃくちゃ悔しいですけど、一番上になれなかったっていう悔しさがあったから大学でも頑張れたっていうのはあります。」と語っています。
高校総体県予選の決勝戦で悔しい思いをした粕谷も、悔しい2番を経験したからこそ、今回の結果があるような気がします。「また鯉渕先生と一緒に頑張れて嬉しいです」の言葉通り、より一層成長した姿を見せてくれることと思います。
皆様、応援よろしくお願いいたします!
【柔道部】順柔杯
20日、順天堂大学主催の順柔杯に参加しました。4年ぶりの大会開催だそうです。新チームのキャプテン•高橋が選手宣誓を任されました!
トーナメント制の試合の後は練習試合もさせていただき、仕上げはトレーニングです。本校以外の、埼玉県から参加した選手たちと一緒に坂ダッシュ!監督たちが坂の上と下から声をかけ、子どもたちの気持ちをノセていました。
21日は稽古に参加させていただきました。
大会前の貴重な時間、ありがとうございました!
【柔道部】埼玉県ジュニアアスリート事業
14日から16日、県立武道館にて埼玉高体連柔道練習会が行われました。普段はライバルの選手たちが共に汗を流す3日間、帰省している宮工柔道部のOBたちも顔を出してくれ、「練習時間が減ってても後輩には負けられません!」と、本気の乱取りを楽しんでいました。
柔道をしながら考えてほしいのは、技を磨くことだけではありません。乱取りの前には「相手に配慮をしよう」と伝えられました。相手への心遣いや礼儀、気合の入る声、ここ一番の集中、武道をとおして身につくことは多いです。
中学生の積極的な参加もあり、充実した稽古をすることができました。
【柔道部】感謝をつなぐ
毎年、この時期頼りになるのは3年生。
現役からは身を引いていますが、都合をつけて後輩たちの稽古の相手をしてくれます。自分たちがしてもらったことを後に繋ぐというのが、宮工柔道部の恩返しの形。「宮工で柔道をする」誇りをもって稽古をしてきた先輩たちから感じる気迫や信念にも同じことが言えますが、そうした姿を見習って“善い習慣”を引き継いでいってほしいです。
今日、稽古に参加してくれた中学生の一人は「工業、楽しいし勉強になる!」と言ってくれました。こういう声が聴けるのもまた、これまで積み上げてきたものがあるからではないでしょうか。
宮工柔道部には“見えない大切なもの”がたくさんあります。
【柔道部】この場所だから
8月に入りました。
柔道部は早めのオフを設定し、今日からはコンスタントに稽古の日々です。お盆明けには錬成会も控えています。たくさんの学校と当たり自分をどこまで鍛えられたか手応えを感じるためにも、やるべきことをやる!これしか道はありません。
毎年のことですが、大宮工業の柔道場は暑いです。夏場は水分補給の回数を増やしたり冷えた部屋で長めに休憩をとったりして、練習時間を組み立てています。体調への影響を考えて空調設備の整った学校へおじゃますることもあります。
そうした快適な環境で練習をした時、子どもたちは地力を感じるようです。数年前の卒業生は大学へ出稽古に行った際、他校が息をあげている中でケロッとした表情。「いつもの練習のがキツいです、今日は全然動けます」と平然と語って乱取りに励んでいたのが印象的でした。
物理的な豊かさを得ても、社会に出れば精神的に思い通りにいかないことがたくさんあります。敢えて今、しんどい場に身を置いて厳しいことと向き合い不便なことや非効率的なことを体験するのは、下を向いたり力を抜いたりしない気骨を養うことが必ず活きるからではないでしょうか。
俳優の堺雅人さんは、コロナ禍後の仕事をとおして「頑張ることができるありがたさを感じた」とおっしゃっていました。自分でやると決めたこと、「このくらいでいいよね」ではつまらない。堺さんの言葉はそれを教えてくれています。そして、“宮工で1位を目指す”意味も、そこにある気がします。
態度で声で、気持ちを表し『やるしかない』を合言葉に稽古です。