式辞・講話等

2022年4月の記事一覧

【式辞・講話等(全日制)】令和4年度入学式 式辞(要旨)

やわらかな、春の日差しの中、若い命が躍動する、希望あふれる季節がめぐってまいりました。
ただ今、入学を許可いたしました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
教職員、在校生を代表して、皆さんの入学を、心から歓迎いたします。

そして、今日まで様々な面で、御苦労を重ねて来られました、保護者の皆様に、お子様の御入学を、心からお祝い申し上げます。

さて、本校は、大正十四年に、大宮町立工業学校として、大宮の地への設置が認可され、この九六年の間に、校訓である「至誠一貫」「質実剛健」のもと、生徒たちの力を引き出し、鍛え、常に日本の工業界をリードする人財を育ててまいりました。

新入生の皆さんには、本校で、確かな学力に加え、社会人としての豊かな教養、そしてエンジニアとしての、知識と技術を身につけてもらいたいと思います。

本校での学校生活は、皆さんの生涯の中でも、極めて大切な時間になるものと思います。

そこで、入学にあたり、心に留めておいていただきたい、三つのことをお話しいたします。

一つは、「夢を持て!」ということです。
その夢は、先の長い生涯をかけての夢でも、少し努力すれば手が届きそうな、目標でも構いません。
人は、常に夢や目標を持ち、それに向かって努力することで、一回りも、二回りも、成長することができます。

幸いにも、本校には、日本を代表する充実した施設・設備があり、そして何よりも、素晴らしい指導者である先生方がいます。

毎日の授業はもちろん、資格取得やコンテスト、部活動など、他に類を見ないたくさんのチャンスがあります。
このチャンスに、自ら積極的に挑戦して、夢を掴んでください。
すべては夢を持つことから始まります。
「夢を持て!」
そして、その夢や目標に向かって、たゆまぬ努力を重ねていってください。

二つめは、「失敗を恐れるな!」ということです。
先ほども、申し上げましたとおり、本校には、他に類を見ないたくさんのチャンスがあります。

そのチャンスに対して、たくさん挑戦すれば、たくさん失敗するのは当たり前です。
大切なことは、その失敗をどう捉えるか、そして、失敗しないためにどうすべきか、ということです。

まず、失敗をどう捉えるか。
「わたしは、今までに一度も失敗をしたことがない。電球が光らないという発見を、今まで、2万回したのだ」
これは、あの偉大な発明家、トーマス・エジソンの言葉です。
エジソンは、上手くいかなかった結果を「失敗」ではなく、「これでは上手くいかないという発見」と捉え、その結果を分析し、さらに研究に邁進したのです。

また、「失敗とは単に、もう一度始められるチャンスのことだ。今度は、もっと賢く行うことができる。ただ一つ、本当の失敗とは、そこから何も学ばないことだ」
これは、アメリカの自動車会社、フォードの創業者、ヘンリー・フォードの言葉です。
エジソンは、「失敗」を「これでは上手くいかないという発見」に、フォードは、「次はもっと賢く行えるチャンス」と捉えました。

このように、失敗は必ず何かを学ぶチャンスでもあります。
また、この学びは、挑戦しなければ絶対に得ることができない貴重な経験でもあります。

失敗を犯さない人はいません。失敗は成功の母、失敗は成長の糧、失敗とは、何かに挑んだ証であり、成功への通過点に過ぎません。
高校生だからこそ、失敗を恐れることなく、たくさん挑戦して、たくさん失敗してください。

その失敗を、発見やチャンスとして、前向きに捉え、「挑戦と失敗」「トライアル & エラー」を繰り返して、その先にある「成功」にたどり着いてください。

そして、失敗しないためにどうすべきか。
「たったひとりしかいない自分を、たった一度しかない人生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないじゃないか。」
これは山本有三の「路傍の石」の中にある言葉です。
あまりにも有名な言葉なので、知っている人も多いことでしょう。

そして、この「路傍の石」には、このような言葉も書かれています。
「人間はな、人生という砥石で、ごしごしこすられなくちゃ、光るようにはならないんだ。」
この人生という砥石には、目の粗い砥石、細かい砥石、仕上げの砥石など様々なものがあります。

皆さんにとって、この高校生活における砥石とは、学校であり、先生方であり、先輩であり、後輩であり、仲間であり、地域や社会の方々であると思います。
その砥石を大切にし、磨き磨かれ、自分自身を光り輝かせてください。

そして、墨彩画家の ひろはま かずとし さんが執筆した「生きつづけてこそ」の中に、「あなたが、あなた自身を信じなくては、輝けるわけがありませんよ」という言葉があります。
自分自身を信じること、自信を持つということは、とても難しいことです。

しかし、自信がなければ、資格取得や、やがて訪れる就職試験、大学入試も、心配であり、実力を発揮することはできません。試合やコンテストなどで、優秀な成績を収めることはできません。

それでは、自信を持つためにはどうするか。それは、準備をする以外に、方法はありません。
準備は、自信につながるだけでなく、嘘をつかない自分を築き上げるためにも、最善の行いです。

その準備をするときは、いつか。それは、今、この時、これから始まる、この高校生の時です。
「失敗を恐れるな!」
怠ることなく準備を進め、信じられる自分、光り輝く自分を築き上げてください。

三つ目は、「優しくあれ! 精神(こころ)強くあれ!」ということです。
私は、工業とは、ただものをつくるのではなく、「人が、人として、幸せに生きていくために必要なものをつくること」だと考えています。
皆さんが、本校で学ぶ知識や技術は、自分のためだけでなく、人のため、社会のため、世界や地球のために、役立たせるためのものです。

専門的な知識や技術の先には、それを利用する「人」がいます。
いかに高度な技術を駆使したものであっても、それを使う人への、思いやりや配慮、気遣いがなければ、決して受け入れられることはありません。
相手の気持ちや、立場に立って考えること。行動すること。つくり上げること。その基本は「優しさ」です。

クラスの友人、学科や部活動の先輩、先生方をはじめとする多くの人との触れ合いの中で、心を磨き、鍛え、人としての「優しさ」を身につけていってください。

そして、優しくあるためには、「精神(こころ)の強さ」が必要です。
精神(こころ)が強くなければ、優しさは、甘さや弱さになりかねません。
精神(こころ)が強くなければ、人や社会を優しく包むことはできません。

どのようなことがあっても挫けることのない強い精神(こころ)。
たゆまぬ努力を重ね、前に進み、たどり着こうとする強い精神(こころ)。
本当の優しさは、強い精神(こころ)に宿ります。

この「優しくあれ!」は、真心をもって何事にも立ち向かうこと。誠意を貫き通すこと。という
本校の校訓「至誠一貫」に通ずる言葉であり、「精神(こころ)強くあれは!」は、中身が充実して飾り気がなく、心身ともに強くたくましいさま。という本校のもう一つの校訓「質実剛健」に通ずる言葉です。

皆さんには、本校の校訓「至誠一貫」「質実剛健」とともに、この「優しくあれ!精神(こころ)強くあれ!」という言葉を、心に深くとどめ、それぞれの夢や目標に向かって、挫けることなく、怠ることなく、邁進してもらいたいと思います。

最後になりましたが、保護者の皆様に申し上げます。
本日より、本校を巣立つその日まで、大切なお子様を、責任を持ってお預かりいたします。

お子様一人一人が持つ、資質・能力・人間性を、限りなく伸ばせるよう、私たち教職員は、全力で努めてまいります。そのため、時には、厳しく、教え、諭すこともあるでしょう。

保護者の皆様におかれましては、学校の方針を御理解いただき、御協力くださいますようお願い申し上げます。

また、お子様は、青年期の悩み多き年代にあります。保護者の皆様と本校の教職員が互いに信頼し合い、情報交換を密に行い、手を携えながら、粘り強く、お子様の成長を支援していきたいと考えておりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます。

結びに、希望あふれる新入生の皆さんの前途を祝すとともに、本日、御多忙の中、御臨席賜りました保護者の皆様に、重ねて御礼申し上げ、式辞といたします。

 

令和4年4月8日

埼玉県立大宮工業高等学校長 清 水 雅 己