2022年9月の記事一覧
【式辞・講話等(全日制)】令和4年度第2学期始業式 式辞(要旨)
おはようございます。
今年の夏休みもコロナ禍ではありましたが、部活動をはじめ、課題研究や資格取得、コンテストなど、多くの生徒が夏休みを返上して活動し、先ほどの表彰状等の数にも表れているように、有意義で充実した夏休みを過ごしたのではないかと思います。
そして、今日、ここに始業式を迎えられたことに、まずもって感謝したいと思います。ありがとうございます。
まずはじめに、1学期の終業式で、3つの善行について紹介しましたが、この始業式でも善行について紹介したいと思います。
8月29日(月)に、地域に住まわれている女性から電話をいただきました。その内容(要旨)は次の通りです。
8月27日(土)9時頃、本校近くの交差点で自転車で転んでしまい、足をケガして動けなくなっていたところを、大宮工業高校の男子生徒に助けてもらった。 その生徒は自転車を起こしてくれた上に、お水まで買って持ってきてくれた。 |
その生徒の行動に大変感謝し、御礼をと思い電話したとのことでした。
そして、その女性は妊婦さんで、その後体調に問題はないとのことでした。
生徒の名前は聞くことができなかったとのことですが、髪の短い爽やかな生徒であったとのことです。
人が困っているとき、その人に身を案じ、すぐに行動を起こすことができる生徒。なかなかできることではなく、これぞ宮工の生徒。まさに、本校の誇りです。いつも思っていることですが、本当に凄い生徒たちだな、凄い学校だなと素直に嬉しくなってきます。
名前はわかりませんが、その生徒の優しさと行動力に、心より敬意を表します。ぜひ、該当する生徒は、校長室を訪ねてもらいたいと思います。
さて、今日は、「能力」と「熱意」と「考え方」について話したいと思います。
皆さんも多忙な夏休みを過ごしたと思いますが、先生方も進路指導や部活動、課題研究などの支援や指導、出張や会議、教材研究、2学期の準備など、むしろ学期中よりも夏休みの方が多忙な日々が続いていたように思います。
私自身も、学校の外で行われた会議などに出席するため、あまり学校にいることができませんでした。
それらの会議で多く耳にしたのは、私たちを取り巻く社会が急激に変化しているということです。
その代表的なキーワードは、AI、IoT、ビッグデータ、ロボット、そして、Society5.0。このSociety5.0が目指すものは、
・IoTですべての人とモノがつながり、新たな価値が生まれる社会 ・AIにより、必要な情報が必要な時に提供される社会 ・ロボットや自動走行車などの技術で、人の可能性が広がる社会 ・イノベーションにより、様々なニーズに対応できる社会 |
例えば、自動車産業やロボット産業と、IoTやAIなどの結び付きによる社会の変革(イノベーション)を通じて、社会が抱える問題を解決していくことです。
その反面、今ある職業がなくなったり、新たな職業が生まれたり、価値観が変わったり、大きな変化がもたらされるということです。
このような変化の激しい時代を幸せに生きていくことは大変なことかもしれませんが、変化が大きければ大きいほど、何かを産み出すチャンスも多くなり、大変であればあるほど、厳しければ厳しいほど、遣り甲斐があり、楽しくもあると思います。
大切なことは、チャンスをチャンスとして捉えられるかどうか、捉えられたときに解決策を産み出し、必要なものを創り出すことができるかどうかです。
そのために必要な要素は、「能力」と「熱意」と「考え方」であると言われています。
1つ目の「能力」とは、物事を成し遂げることのできる力のこと。
日頃、学校で学んでいる国語や数学をはじめとする普通科目、専門科目、部活動や趣味など、その一つ一つが皆さんの「能力」を高める要素です。
この「能力」には、プラスはあってもマイナスはありません。学べば学ぶほど、やればやるほど高まります。
2つ目の「熱意」。
少しニュアンスが違うかもしれませんが、「やる気」や「モチベーション」と捉えてもらってもいいでしょう。
この「熱意」も「能力」と同じで、プラスはあってもマイナスはありません。いかに高めることができるかが大切になります。
「やる気スイッチ」という言葉を聞くこともありますが、やる気スイッチをONにするためにも、具体的な「夢」や「目標」を持つことは極めて重要なことです。
そして、3つ目の「考え方」。
この「考え方」には、プラスもあれば、マイナスもあります。
大切なことは、ものごとを悲観的に捉えるのではなく、「何とかしたい」「何とかしよう」「何とかなる」とプラスに考えること、人や自分、人生に対する肯定的な見方、人やモノに対する感謝の心、人や社会に貢献しようとするプラスの考えです。
とは言っても、物事をプラスに考えることは意外と難しいことです。そのためにも、自分に自信が持てるように「能力」を高めることは、とても重要なことです。
先ほども、ふれましたが、「能力」にはプラスはあってもマイナスはなく、学べば学ぶほど、やればやるほど高まります。
これら「能力」と「熱意」と「考え方」が、皆さん自身の中で、互いに融合し合うことにより、これからの変化の激しい時代を幸せに生きていくことができるようになると思います。
この「能力」と「熱意」と「考え方」を用いた有名な方程式がありますので紹介したいと思います。
その方程式を、一昨日訃報が報じられましたが、京セラや第二電電(現・KDDI)の創業者で、「経営の神様」と呼ばれた 稲盛和夫さんは、人生や仕事の結果は、「能力」と「熱意」と「考え方」の3つの要素の掛け算で決まると言っています。
式で表すと、
人生・仕事の結果 = 能力 × 熱意× 考え方 |
になります。式としては、3つの要素を掛け合わせただけの簡単な式ですので、ぜひ覚えておいてもらいたいと思います。
夏休みが終わり、いよいよ今日から2学期です。
2学期は、勉強だけでなく、体育祭や宮工祭、スポーツや文化活動にと皆さんが、さらなる成長を遂げる大切な学期です。
そのためにも、今紹介した「能力」と「熱意」と「考え方」の3つの要素と、この方程式を常に意識して、自らをさらに高められるよう努力してもらいたいと思います。
おわりに、夏休み中にも準備を進めてもらいましたが、2学期は3年生にとって、進路実現に向けた最も重要な学期となります。
大学や専門学校の推薦入試やAO入試は、既に始まっています。
そして、就職希望の皆さんは、2週間後の9月16日から採用試験が始まります。
採用試験を受験する人の中には、
・採用してもらえるのだろうか? ・この会社でやっていけるだろうか? ・会社に入れても、自分がやりたい仕事に就けるのだろうか? ・この会社は自分に向いているのだろうか? |
そのようなことを考え、不安な日々を送っている人がいるかもしれません。
人は、人生の節目を迎え、ことを決める時には、誰だって心が揺れ動きます。それは自然なことであり、当たり前なことです。
しかし、それから逃げていては、何の解決にもなりません。
これは、就職希望者だけでなく、進学希望者にも言えることですが、大切なことは、
・腹をくくること。
・何が何でもこの会社に、この学校に入るんだという強い意志を持つこと。
・そして、自分がそこで何をやりたいのか、何をやろうとしているのかを自分の言葉で明確に言えるようにしておくことです。
いよいよ進路実現に向け、大きな一歩を踏み出す時がやってきました。
頭の中を整理し、体調を整え、万全な状態で臨んでください。
就職・進学ともに、3年生全員が第1希望の進路実現が叶うよう、ぬかりなく準備を進めてください。
3年生の皆さん、頑張ってください。皆さんからの吉報を待っています。
そして、1・2年生の皆さんには、進路実現に向かって頑張っている3年生の姿を、その目にしっかりと焼き付け、来たるべき時に備えてもらいたいと思います。
最後に、お願いです。
様々な制限が緩和されつつありますが、新型コロナウイルスは未だ猛威を振るっています。
周囲の人のためにも、自分のためにも、くれぐれも気をつけて、引き続き節度ある行動をお願いします。
それでは、この2学期が皆さんにとって、充実した学期となることを期待して、私の話を終ります。2学期も頑張っていきましょう!
令和4年9月1日
埼玉県立大宮工業高等学校長 清 水 雅 己