式辞・講話等

2022年12月の記事一覧

【式辞・講話等(全日制)】令和4年度第2学期終業式 式辞(要旨)

おはようございます。

はじめに御礼を申し上げたいと思います。
今日のようなオンラインによる式典などのために、建築科の3年生の皆さんが、ピン止め用スタンドをつくってくれました。
先日の学校説明会でも使わせてもらいましたが、とても便利に使わせてもらっています。
製作にあたってくれた生徒の皆さん、ありがとうございました。

さて、2学期も今日で終わりになります。
2学期は、3年生にとっては、就職試験や大学、専門学校の入試など、進路実現に向けての活動で大変な学期だった思います。
そして、全校的には、新型コロナウイルス禍の中での、体育祭や宮工祭、強歩大会、2年生はインターンシップもあるなど、学校行事が多く、1年間で一番多忙な学期であるとともに、充実した学期であったと思います。
その中で、本当に多くの活躍がありました。きっと皆さん全員が大きく成長した学期であったと思います。
その意味でも、この2学期間、そして、この令和4年の1年間、本当にお疲れ様でした。

今日は、この1年の皆さんの成長を振り返ったり、3年後に迎える100周年や4年後の新校の開校に向けて、いろいろなことを考えている中で思ったことを話したいと思います。
いろいろなこととは、「工業高校の役割って何だろうか」とか、「工業高校が育成しなければならない人財って何だろうか」など、少し哲学的?なことです。

私たちは毎日、当たり前のように整備された道を歩き、電車や自動車、自転車などに乗り移動しています。
駅や大型店舗では、階段よりもエレベーターやエスカレーターを好んで乗っています。
雨風がしのげる家に住んでいます。
電気やガスを使っています。
メールやLINEでメッセージを伝えあっています。
ちょっとでも時間があればネットを使っています。
電車の中では、ケータイを手にしていない人はいないほどです。
人によって求めるものや、その要求は異なるため、満足度に差はありますが、基本的には不自由なく生活しています。

そして、このような当たり前の生活ができなくなると、ニュースにも報じられるほど大問題になったりします。
このような皆さんが当たり前に生活するための “ものや社会的基盤(社会インフラ)”は、誰かが考え、つくり、守ってくれているからこそ、当たり前に生活することができています。

でも、私たちは、誰が電車や自動車、自転車をはじめとする“もの”をつくっているのか知りません。
誰が電気やガスを送り届けてくれているのか知りません。
誰が社会インフラを守ってくれているのかを知りません。
感謝をすることなく、それが当たり前のことだと思っています。
というよりも意識さえしていません。

しかし、名も知らない方々が、私たちが当たり前に生活できるための“ものや社会インフラ”を考え、つくり、守ってくれています。

その方々のことを私たちは技術者(エンジニア)と呼んでいます。

その技術者(エンジニア)こそ、工業高校が育成しなければならない人財であり、その人財育成が工業高校の役割であると思います。

そのようなことを考えている中で、あるコマーシャルを思い出しました。
そのコマーシャルの中で流れている曲を聞いてください。

みえない 時間に、みえない 場所で、みえない 誰かを想い、目立たず 知られず、でも ララララ、それで それで いいんだ

いえない 言葉と、たえない願いと、きえない 誇りを胸に、目立たず 知られず、でも ララララ、それで それでいいんだ

工業高校の出身で、技術者を目指し、工業という分野で生きてきた私には、とても心に響くコマーシャルでした。

これは、今から6年前に放送された三菱電機ビルソリューションズ株式会社(当時は、「三菱電機ビルテクノサービス株式会社」)のコマーシャルです。この会社のHPには、

当社社員のみならず誰もが元気になり、 自分の仕事や会社がより一層好きになれるようにと考え制作しました。
“人知れず、一生懸命に働く全ての人に向けて”、奇妙 礼太郎(きみょう れいたろう)さんらしい熱く心に響く歌声で歌い上げています。
また、このCMには、出演者に当社社員を起用しています。エレベーターや空調設備などのビル設備のメンテナンスを実際に行っている現場のエンジニアたちの真摯に取り組む姿勢と、当社の「安全」「安心」に対するこだわりを訴求(そきゅう)いたします。

と、このコマーシャルの制作に対する会社としての想いが綴られています。

それでは、生徒手帳を出してください。
表紙には、本校の校訓である「至誠一貫」と「質実剛健」の文字が大きく書かれています。
そして、その下に、

至誠一貫は 私達の本領であり、校旗は希望の標示である。今 この校旗のもとに 私達は一致団結して 質実剛健の精神を養い 清風な校風をつちかうことを誓う。

と、書かれています。

本領とは、「そのものの特色や本質」を意味していますのす。

この「至誠一貫」こそが、大宮工業高校の本質であり、その本質を見失わないように、「質実剛健」の精神や姿勢を培うことを誓っています。

次に、皆さんはあまり意識していないかもしれませんが、本校の「教育目標」を改めて伝えたいと思います。
「教育目標」とは、皆さんを こういう人間・人物に育てる。育てたい。という学校としての目標であり、使命です。表紙をめくって、1ページ下段の枠の中を見てください。
本校の「教育目標」は、そこにある通り、

憲法・教育基本法にもとづき以下の項目をかかげる。
1 心身共に健康で 自主的精神に充ちた 積極性のある 個性豊かな魅力ある人間を育成する。
2 感受性が豊かで 思いやりのある 視野の広い 社会性を身につけた 国際社会に通用する人間を育成する。
3 現代工業の基礎的知識・技術を身につけ つねに科学的に考え 行動に当たっては 骨身を惜しまない 実学の徒を育成する。

と、定めています。

これを踏まえ、先ほど聞いてもらったコマーシャルの曲の歌詞を読んでみます。

みえない 時間に、みえない 場所で、みえない 誰かを想い、目立たず 知られず、でも ララララ、それで それで いいんだ

いえない 言葉と、たえない 願いと、きえない 誇りを胸に、目立たず 知られず、でも ララララ、それで それでいいんだ

 この“みえない 誰かを想い”は、人のために、社会のために尽くすという「至誠一貫」の精神そのものであり、
“たえない 願いと、きえない 誇り”は、「質実剛健」の姿勢でいられる源であるように思います。
そして、歌全体を通して、日本の文化ならではの奥ゆかしさを感じさせてくれます。表現は少し異なりますが、本校の校訓や教育目標を謳っているようにも感じます。

皆さんは縁あって、「至誠一貫」「質実剛健」を校訓とするこの大宮工業高校で学んでいます。3年間この「至誠一貫」「質実剛健」の校訓のもとで学んでいます。
今一度この「至誠一貫」「質実剛健」をしっかりと胸に刻んでください。意識して行動してください。

そして将来、誰かに、あなたの座右の銘は?と聞かれたときに、「至誠一貫と質実剛健です!」と、胸を張って言える人間に成長してください。

以上が、いろいろなことを考えている中で思ったことです。

最後にお願いです。
最近、憤りを覚えるような事件や辛く悲しい事故の報道が耳に入ってきます。
やるせない気持ちになったり、悩んだり、不安になったりすることもあるかもしれません。
誰にでも悩みや不安はあります。悩みや不安がない人なんていません。

その悩みや不安を一人で抱え込まず、家族、先生、スクールカウンセラー、友達、私でも構いません。誰でもいいですから話してみてください。
必ず味方になってくれる人がいます。
周りの人に話しづらいときには、電話やメール、ネットで相談できる窓口もあります。
必ず、誰かに、どこかに話してみてください。

また、もし周りに元気のない友達がいたら、積極的に声をかけてあげてください。そして、大人につないでください。
お願いです。自分を大切にしてください。友達を大切にしてください。命を大切にしてください。

結びに、新型コロナウイルスの新規感染者数が急増しているようです。
その中で、年末年始に、家族や友達と出かける機会も多くなると思います。
出かけるなと言うことではありません。引き続き、3密の回避、手洗い・手指消毒、適切なマスクの着用などの基本的な感染防止対策に努めてください。

それでは、三学期の始業式、1月10日に、全員そろって、笑顔で会いたいと思います。
どうぞ良い年をお迎えください。

令和4年12月23日

埼玉県立大宮工業高等学校長 清水 雅己