式辞・講話等

2023年3月の記事一覧

【式辞・講話等(全日制)】令和4年度卒業証書授与式 式辞(要旨)

やわらかな、春の日差しの中、木々のつぼみも、日に日に膨らみ始め、春爛漫の日の近いことを思わせる季節になりました。

この春のよき日に、保護者の皆様のご臨席のもと、令和四年度埼玉県立大宮工業高等学校卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより、本校教職員、在校生一同の大きな喜びとするところであります。
ご臨席賜りました保護者の皆様に、心より御礼を申し上げます。

保護者の皆様におかれましては、お子様の高校卒業の晴れやかな姿をご覧になり、喜びもひとしおのことと、拝察申し上げます。
高校時代は、心・技・体ともに、人生の中で最も成長する時期であると同時に、不安定な時期でもありましたが、保護者の皆様の温かい愛情が実り、お子様は、ご覧のとおり、立派に成長され、本日ここに、卒業の日を迎えられました。
お子様のご卒業、誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。

さて、ただいま、卒業証書を授与いたしました卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
卒業生の皆さんは、入学してから今日まで、本校の校訓「至誠一貫」「質実剛健」のもと、夢を持ち、失敗を恐れず、学校生活に一生懸命に取り組んできました。
勉強はもちろんのこと、学校行事や部活動、資格取得、各種コンテストなど、さまざまな夢や目標に向かって挑戦してきました。
強歩大会や体育祭、宮工祭などの行事では、クラスや学科、あるいは生徒会や部活動などで取り組み、仲間との強い絆を築くとともに、人間性を磨いてきました。
資格取得では、数多くの国家資格に合格するとともに、ジュニア・マイスターの称号を取得するなど、他に類を見ない大きな成果をあげてきました。
部活動では、仲間とともに暗くなるまで練習に励み、休日も返上して汗を流し、本校が文武ともに極めて優れた学校であることを証明してくれました。
このような日々を送る中では、さぞかし辛いこともあったと思います。
惜しくも敗れ、流した悔し涙、その辛さを乗り越え、目的を達成したときの歓び、その経験こそ、これからの人生の最高の宝物になるはずです。
その経験や思い出を、いつまでも大切に、胸に刻んでおいてください。
そして、いつも皆さんを見守り、励まし、支えてくださった、家族や先生方、仲間、後輩たちがいたことを忘れないでください。

振り返ると、皆さんの高校生活は、新型コロナウイルスに翻弄され、これまでとは異なる様々な対応が迫られる辛く厳しい時間でした。
そして、新型コロナウイルスへの対応に加え、ロシアのウクライナへの侵攻は、今もなお世界経済に大きな影響を与え続けています。
これから先も、どのような状況になるか予断の許さないピンチの状態が続くかもしれません。

しかし、皆さんも感じていると思いますが、このような大きな社会問題が起こったときには、必ず社会が大きく変わります。
そして、社会が大きく変わる時には、たくさんのチャンスが訪れます。
まさに「ピンチはチャンス」です。
このようなピンチは突如起こります。
そのピンチをチャンスとして捉えることができるかどうか、訪れているチャンスに気がつくかどうかは、皆さん次第です。
また、チャンスに気が付いても、自分自身に力がなければ、そのチャンスを逃してしまいます。
チャンスをものにするために必要なことは、備えること、力を蓄えることです。

高校を卒業し、また、成人となったといっても、皆さんはまだまだ未熟です。
これから先も、好奇心を持って様々なことを見つめ、学び続け、力を蓄えていってください。
その皆さんが、溢れる希望を胸に抱き、本日をもって、この大宮工業高校から、新たなる社会へ、羽ばたいていくことに、大きな寂しさを禁じ得ません。

今ここに、万感の思いを込めて、そして、皆さんのこれからの長い人生における人生訓として活かせるよう、皆さんへ二つの餞の言葉を贈りたいと思います。

一つは、「自分に負けるな!」という言葉です。

頑張っていれば、いつか報われる。
持ち続けていれば、夢はかなう。
そんなのは幻想だ。
たいてい、努力は報われない。
たいてい、正義は勝てやしない。
たいてい、夢はかなわない。
そんなこと、現実の世の中ではよくあることだ。
けれど、それがどうした?
スタートはそこからだ。
技術開発は失敗が99%。
新しいことをやれば、必ずしくじる。
腹が立つ。
だから、寝る時間、食う時間を惜しんで、何度でもやる。
さあ、きのうまでの自分を越えろ。
負けるもんか。

これは、ホンダの創業者 本田宗一郎さん の言葉をもとに、十年ほど前につくられたホンダのコマーシャルで使われた言葉です。

努力は報われない。正義は勝てない。夢はかなわない。と諦めるのではなく、そこがスタートなのだと奮起して、失敗と成功を繰り返し、成功するまで決して諦めない「自己に打ち勝つ不屈の精神」。最後の「負けるもんか」という言葉は、誰かに対しての言葉ではなく、自分に対しての言葉、すなわち「自分に負けるな!」という思いが込められた言葉であると思います。

もう一つは、「優しくあれ! 心強くあれ!」という言葉です。

技術は人のためにある。その先の人を想い描いて もの を作れ。

これも、本田宗一郎さん の言葉ですが、本田宗一郎さん は、次のような言葉も残されています。

学問なり、技術があるということは、立派なことには、ちがいないが、それを人間のために有効に使って始めて、優れた人間だ ということができるのだと思う。

皆さんは、高校生活の中で、多くの知識や技術を学んできました。
そして、その知識や技術を基盤に、これからも、さらなる精進を重ね、立派な社会人になっていくのだろうと思います。

本田宗一郎さんが言われるように、皆さんが持つ知識や技術は、自分のためだけでなく、人のため、社会のため、世界や地球のために、役立たせてこそ、価値があり、その役割を果たすことができます。
そのためには、相手の気持ちや、立場に立って考えること。行動することが大切です。

その基本は、「優しさ」です。
そして、優しくあるためには、「心の強さ」が必要です。
心が強くなければ、優しさは甘さになりかねません。
心が強くなければ、人や社会を優しく包むことはできません。
どのようなことがあっても、挫けることのない強い心。
たゆまぬ努力を重ね前に進もうとする強い心。
本当の優しさは強い心に宿ります。

「自分に負けるな!」は、本校の校訓「質実剛健」につながる言葉、そして、「優しくあれ! 心強くあれ!」は、本校のもう一つの校訓「至誠一貫」につながる言葉です。
この「自分に負けるな!」「優しくあれ! 心強くあれ!」という二つの言葉が、本校の校訓「質実剛健」「至誠一貫」とともに、皆さんが長い人生を力強く歩むための糧となれば幸いです。

いよいよ本日をもって、皆さんは、大宮工業高校から新たなる社会に向けて羽ばたきます。
皆さんは、時流に流される人ではなく、本校のDNAが宿る「時流を読み、新しい時代を創る人たち」です。
社会の変化や、技術の進歩をしっかり見つめ、感じ、考え、行動できる、新しい時代を切り拓く、優しく健康で、人間性豊かな社会人として活躍されることを心から期待しています。

最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、本校の教育活動につきまして、格別のご支援、ご協力をいただき、誠にありがとうございました。
時には、至らぬことや、ご心配をおかけしたこともあったかと存じますが、暖かく見守っていただいきましたことに、心より感謝を申し上げます。そして、改めて、お子様のご卒業を心よりお祝い申し上げます。

結びに、本日ここに、ご卒業される卒業生の皆さんが、前途洋々たる人生を、正々堂々、そして、楽しみながら歩んでいくことを心より祈念し、式辞といたします。
卒業生の皆さん、本校の生徒でいてくれてありがとう。ご卒業おめでとうございます。

令和5年3月10日

埼玉県立大宮工業高等学校長 清水雅己